“守備合戦”のなかで光ったドルトムント攻撃陣の攻守の巧みさ――マインツ 0-2 ドルトムント

2015年10月17日 サッカーダイジェストWeb編集部

ともに得点機はあった武藤と香川。決めておきたかったが…。

 10月16日、ブンデスリーガ第9節では、ドルトムントが敵地でマインツを2-0で下した。
 
 香川、武藤の日本人対決としても注目を浴びた一戦は、ともに厳しいプレッシャーをかけながら、そのなかで攻撃を仕掛け合う、引き締まった内容の好試合となった。
 
 守備の面では、ホームのマインツが光った。中盤でドルトムントに容易にボールを持たせないだけでなく、うまくカットしてその後のスピーディーな攻めに繋げて、相手に冷や汗をかかせた。
 
 しかしドルトムントは前半の半ばになると、このプレッシャーのなかでも長短織り交ぜたパスを繋ぐ高度な攻撃で、マインツゴールに迫る。前線の守備も活き、こちらも相手DF陣をたびたび慌てさせた。
 
 見ていて楽しい"守備合戦"の均衡が破れるきっかけになったのは、守備でのミスだった。18分、マインツDFブンガートのパスがカットされる。ドルトムントはムヒタリアン→オーバメヤンと繋ぎ、最後は左でフリーのロイスがパスを受け、難なく先制ゴールを奪った。
 
 マインツにとっては痛恨のミスとなったが、これもドルトムントの前線でのプレッシャーにより、ブンガートのパスコースが狭められた結果と言えるだろう。
 
 ひとつのミスが即ピンチに繋がるこの試合。得点直後の19分には、ドルトムントの右SBパク・チュホの不用意な中央へのパスをカットしたマインツはデ・ブラシス→マッリと繋げ、あっという間にフィニッシュまで持ち込んだ(シュートは枠を外れた)。
 
 試合は以降も、互いの守備が機能し続け、両チームほぼ均等に攻撃チャンスを迎えながら進んでいった。
 
 後半、開始直後に速攻からオーバメヤンが倒されてドルトムントがPKを得るも、ロイスのキックはGKカリウスに止められ、これを詰めたパク・チュホのシュートも枠外。今度は、マインツが相手のミスに救われた。
 
 前半に比べると両チームともに守備でのプレッシャーは弱まったが、試合展開そのものに変化はなく、どちらのペースということもなく、守備を重点にしながらも交互に攻撃を仕掛け合った。
 
 そして82分、再びマインツDF陣がミスを犯した。右SBブロジンスキのバックパスがオーバメヤンにカットされる。オーバメヤンは余裕をもってボールを持ち込み、ムヒタリアンの追加点をアシストした。
 
 ただこの場面でも、ドルトムント攻撃陣は巧みにプレッシャーをかけており、ブロジンスキのプレーの選択肢は限られてしまった。ドルトムントの優れた守備が、相手の守備に穴を開け、勝敗は決めたのだった。
 
 守備がキーワードの試合だったが、両チームの明暗を分けたもうひとつの大きな要素が、ゴール前での攻撃の精度だ。
 
 ドルトムントが様々な攻撃のオプションを使って相手守備をこじ開けようとしたのに対し(膠着した際にはCBのパパスタソプーロスまで上がって打開しようとした)、マインツはゴール前での崩しのパターンは乏しかった。
 
 前述した通り、中盤で良いかたちでボールを奪い、デ・ブラシス、ハイロが持ち込み、両SBも良い上がりを見せたが、その先のプレーには明確な意図が感じられず、徹底マークされたマッリ以外、ゴール前のプレーはあまり効果的ではなかった。
 
 また、カウンターによって何度も良い位置でFKを得ながら、これを活かせなかったのも今後の課題と言えるだろう。
 
 武藤は前線でパパスタソプーロス、フンメルスという屈強なCB相手に果敢に挑み、当たり負けもしなかったが、状況判断と決定力で課題を残した。マッリや他チームメイトから再三良いパスを得るも、そこから、仕掛けるべきか、味方に預けるべきか判断には、疑問を感じる点があった。
 
 5分、58分で迎えた得点機は、位置的にも状況的にも簡単ではなく、決してシュートミスではなかったものの、こういったチャンスの多くないマインツにおいては、是非とも決めておきたいところである。
 
 一方の香川は、トップ下でうまく攻撃に絡み、パスやドリブルで周囲を活かすだけでなく、ボールを持たない動きでも攻守でうまく機能していた。
 
 ただ、61分にギンターからのスルーパスで得たフリーでの決定機は決めておきたかった。そうすれば、この時点でドルトムントの勝利はほぼ確定し、楽に試合を進められただろう。
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