【藤田俊哉の目】ドイツ遠征で序列が変化したと感じたポジションは2つ。「堂安―三笘」のセット起用は大きなオプションに

2022年09月30日 藤田俊哉

チームに勢いをもたらすことができる選手は貴重

アメリカ戦で1得点の鎌田。エクアドル戦でも途中出場で存在感を示すなど、トップ下で格の違いを見せつけている。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ]日本 0-0 エクアドル/9月27日/デュッセルドルフ・アレーナ

 ワールドカップのメンバー選考前の最後の強化試合が終わった。26人のメンバー選考については割愛するが、実績を重視する森保一監督の考えから、大枠のメンバーに変化はないはずだ。

 スタメンに目を向ければ、このドイツ遠征の戦いを経て、序列が変化したと感じたポジションは2つ。

 1つ目はゴールキーパーだ。

 言うまでもなく、エクアドル戦でのPKストップの活躍などで、シュミット・ダニエルがスタメンに最も近い存在になったのではないだろうか。チームがピンチになっている場面で活躍してチャンスを掴んだ彼は、かつての川島永嗣のようだ。

 川島は12年前の2010年南アフリカ大会で、開幕直前の強化試合で正GKの座を奪った。そのまま本大会でも安定したパフォーマンスを見せ、日本のベスト16入りに貢献している。

 これまでは権田修一がゴールマウスを守る機会が多く、アジア予選での活躍は誰もが認めるものであったが、その後のポジション争においては、シュミットが抜け出したのではないだろうか。

 チームに勢いをもたらすことができる選手は貴重である。特に、ゴールに直結するプレーであればあるほど、チームの空気を変えてくれる。エクアドル戦で、あのPKが決まっていれば、日本は0-1で敗れていたかもしれない。

 強化試合とはいえ、ワールドカップのシミュレーションとして考えれば、勝点1をもたらしたシュミットのプレーは、ヒーローに値する(だから、エクアドル戦でのMVPも彼しかいない)。

 守りの選手はやはり、ゴールを止めてくれる香りがあったほうがいい。
 
 もう1つ、スタメンの序列の変化があったのはトップ下。格の違いを見せつけているのが鎌田大地だ。

 所属クラブでの好調ぶりをそのままに、アメリカ戦では1ゴールを叩き込んだが、エクアドル戦でも途中出場で少ない時間ながら、前線でスペースを見つけては常にゴール前に顔を出し、いくつかのビッグチャンスを作り出した。彼がピッチにいるだけで、ゴールの香りが出ているように感じさせてくれる。

 日本はアメリカ戦、エクアドル戦ともスタートのシステムはトップ下を配した4-2-3-1で臨んだ。これまで4-3-3で戦ってきたのに、4-2-3-1に変えたのは、トップ下を得意とする鎌田を活かすため、だと考えてもおかしくない。

 本来、そのポジションでプレーすべきは、南野拓実だったはずだが、エクアドル戦でトップ下としてスタメン出場したものの、期待どおりの活躍を見せてくれたとは言いがたい。

 そんな南野のパフォーマンスを見てか、「落選もありえるかも」という報道もちらほら目にするが、そんな心配は杞憂に終わるだろう。しかし、鎌田と南野を比較して、一つ言えるのは、所属クラブでの活躍ぶりが日本代表でのピッチ上に如実に表われるということだ。

 当然、クラブで活躍できなければ、代表チームでもなかなか活躍することはできない。ワールドカップ開幕までの2か月間で、選手たちが所属クラブに戻ってたくさん結果を出して、鎌田のように自らの成長と、自信へとつなげてほしい。
 

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