同点弾をお膳立てし、得意のドリブルで局面打開。斉藤光毅がスイス戦で好プレーを連発し“復活”を証明【U-21代表】

2022年09月23日 松尾祐希

過去2度の活動では10番だったが、今回は18番

スイス戦で先発した斉藤。切れのあるプレーで細谷の同点弾をアシストするなど存在感を示した。写真:佐藤博之

[国際親善試合]U-21日本代表 1-2 U-21スイス代表/9月22日/マルベージャ・フットボール・センター(スペイン)

 やっぱりこの男には笑顔が似合う。

 現地時間9月22日、欧州遠征を行なっているU-21日本代表が、スペインのマルベージャ・フットボール・センターでU-21スイス代表と対戦。1−2で敗れた一戦で、6月の U-23アジアカップでもがいていたMF斉藤光毅(スパルタ)が、復活を印象付けるプレーで存在感を示した。

 立ち上がりから4―3−3の左ウイングでキレのある動きを見せると、0−1で迎えた15分に見せ場が訪れる。左サイドでSB大畑歩夢(浦和)がボールを奪うと、斉藤がパスを受ける。

「(今まではウイングの位置から中に入って)ターンできる機会があんまりなかった」

 だがこの時は、鮮やかなトラップで前を向いて相手を外すと、FW細谷真大(柏)の動きに合わせて、ゴール前にスルーパスを送り込む。細谷はGKとの1対1を制してネットを揺らした。

 同点弾を演出した斉藤にとっては、手応えを掴むプレーとなった。前半のみの出場となったが、アシストの場面以外でも得意のドリブルでボールを運び、上半身の動きだけで相手を外したり、左インサイドハーフの本田風智(鳥栖)や後方の大畑とうまく連係してチャンスに絡んだ。

 ゴールこそ生まれなかったが、3か月前とは見違えるような動きで攻撃陣を牽引した。

 思い返せば、6月のアジア杯では10番を背負いながら、まるで良いところがなかった。欧州挑戦2年目となったシーズン終了後から少し間を開けてU-21代表に合流したため、コンディションは万全ではなかった。

 それでもエースとしての責任を背負い、誰よりも結果にこだわってピッチに立っていた。だが、気持ちが先行し、プレーとリンクしない。動きが重く、持ち前のドリブルは鳴りを潜めてしまった。
 
 日を追うごとに斉藤の表情が曇り、いつも明るく振る舞う男から笑顔がなくなった。しかし、大会後に結果を受け止め、さらなる成長のエネルギーに変えていくことができたと斉藤は言う。

「(自分自身を)客観的に見られたので、他の人に意見も聞けたし、自分を客観的に見れた。自分に悲観しすぎないというか、メンタルの成長もできると思えたので、本当にポジティブに受け止められたと思う」

 気持ちを切り替え、今季は1年半在籍したロンメル(ベルギー1部)からオランダ1部のスパルタに期限付き移籍。新たな挑戦をスタートさせ、開幕当初はコンディションが整わずに苦戦しながらも、前向きな姿勢でトレーニングに励んだ。

 ロンメルに加入した直後に味わった、新たな環境になかなか馴染めなかった経験も生きたという。「ロンメルでもがいていた時期を思い出しながら試行錯誤していたら、また新たな発見があったので慣れる期間は比較的短くできた」。

 新天地デビューとなった9月3日のフォーレンダム戦では2アシストを記録するなど、好調を維持した状況で代表に合流。スイス戦で指揮官の期待に応えるようなプレーを見せられたのは、自信を深めるうえでも大きな意味がある。

 過去2度の活動では10番を背負っていたが、今回は18番となった。背番号にこだわりを見せないと話すが、エースの象徴でもある10番を明け渡したままでは終われない。

 26日にはU-21イタリア代表戦が控える。誰からも認められる結果を残すためにも、欧州遠征ラストマッチはチームの勝利に導く活躍が求められる。スイス戦後に見せた笑顔を、さらに輝くものとしたい。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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