デビュー戦でさっそく結果を出した横浜ヤン・マテウス。左ウイングでの出場には「監督が選んだポジションが僕のベストポジション」

2022年09月08日 金子 徹(サッカーダイジェスト編集部)

試合中は、どこにスペースがあるのか、監督はどのポジジョンで起用するのかを考えていた

得意の左足を振り抜き、デビュー弾を決めたY・マテウス。(C)SOCCER DIGEST

[J1第25節]横浜3-0湘南/9月7日/日産スタジアム
 
 会場がどよめく一発だった。
 
 横浜F・マリノスは9月7日、J1第25節で湘南ベルマーレと対戦し、3-0で完勝。試合終了間際に勝利を確実なものにするチーム3点目を決めたのが、今夏にポルトガルのモレイレンセから完全移籍でチームに加入し、この日がデビュー戦だったヤン・マテウスだ。
 
 前半はスコアレスで折り返すも、56分に西村拓真が先制点を挙げる。1-0で迎えた63分、左利きのブラジル人アタッカーはエウベルに代わって左ウイングに入り、ついにJリーグのピッチに立った。
 
 すると、ファーストプレーでいきなりドリブルを披露。その時はマッチアップした湘南のDF舘幸希をかわせなかったが、その後も鋭いクロスを供給してチャンスを演出したり、スピードを活かしてゴール前に走り込むなど、随所に持ち味を発揮した。
 
 初ゴールが生まれたのは、2点差をつけていた89分だった。仲川輝人とサイドを変え、右ウイングにポジションを取っていたY・マテウスは、仲川が左サイドからドリブルでペナルティエリアに侵入する間に中央付近まで動く。そして、「テルの視野に入ればと思って、ちょっと止まった」とスタンバイ。仲川からパスを受けると迷わずダイレクトで左足を振り抜く。放たれたボールは湘南のGK谷晃生の手をかすめるが、勢いは衰えず、そのままネットを揺らした。
 
 Y・マテウスはデビュー弾について、「サッカー選手であればデビュー戦で得点を決めるのは夢。実現できて嬉しい」と素直に喜びを表わす。また、得点後にサポーターの元へ駆け寄ったシーンについては、「サポーターから愛情をいっぱいもらっているので、何らかの形でチームに貢献したかった。得点できた嬉しさを爆発させるのはサポーターの前でという気持ちで走って行った」と語る。
 
 右ウイングを主戦場にするブラジリアンは、加入後初のメンバー入りでもあった。試合中はベンチで戦況をうかがいながら、どこにスペースがあるのか、ケヴィン・マスカット監督はどのポジジョンで起用するのかを考えていたという。本人は「監督が選んだポジションが僕のベストポジション」と言うように、こうしたイメージがあったからこそ、左ウイングでも能力を発揮し、得意の右ウイングに入ればゴールという結果を出せるのだろう。
 
 もっとも、まだ加入して1か月弱。これから横浜のアタッキング・フットボールの戦術理解をさらに深め、狭いスペースでの動き方やパスの受け方など、チームメイトとの連係面も高めていかなければいけない。それでもこの日のパフォーマンスに、今後に向けて大きな期待を抱いた人は多いはずだ。

 天皇杯に加え、8月の公式戦4連敗でルヴァンカップ、ACLも敗退した横浜だが、リーグ戦は暫定ながら再び首位に立った。残り8節。Y・マテウスのさらなる活躍に注目したい。
 
取材・文●金子徹(サッカーダイジェスト編集部)
 
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