柏戦の前半はまさに無双状態! 上り調子の清水を牽引するT・サンタナの充実ぶり。得点以上に圧巻だったのは…

2022年08月22日 前島芳雄

CKからの再三のチャンス創出は今後につながる収穫に

T・サンタナは柏戦で得点だけでなくポストプレーやパスでも存在感。圧巻のパフォーマンスを披露した。(C)SOCCER DIGEST

[J1第26節] 清水1-1柏/8月20日/IAIスタジアム日本平

 今日もホームで勝てなかった――。

 終わってみれば、そんな悔しさが残る試合だった。

 3位の柏を破って3連勝できれば、連勝中で上り調子のチームがさらに自信をつけ、勢いが加速するはずだった。だが、多くのチャンスを作りながら2点目を決められず、土壇場の失点で掴みかけた価値ある1勝が手からこぼれ落ちていった。

 ただ、試合内容から考えれば、失ったものばかりではない。とくに前半は完全に自分たちの流れで試合を進め、それを力強く牽引したチアゴ・サンタナの充実ぶりには目を見張るものがあった。

 まず8分の先制点は、CKのキッカーを務めた山原怜音のキック精度が素晴らしく、競り勝ったT・サンタナの高さとヘディングの質も抜群で、美しいゴールだった。
 
「昨日のセットプレーの練習でやってきた形。自分が入ったところには(立田)悠悟が入る予定だったが、相手がマンツーマンで来たので、逆に悠悟が自分のマークをブロックしてくれて、ニアに入って決められた」とT・サンタナは振り返る。

 セットプレーからの得点を増やすのは、チームとして力を入れている部分で、「セットプレーは長い時間練習しているし、自分としても自信につながるキックがたくさん出たと思います」と山原自身も言うように、その後もCKから多くのチャンスを作った。それらを決めきれなかったのは課題だが、今後につながる大きな収穫でもあった。

 その後、T・サンタナにはゴール前であまり良いボールが集まらず、90分間でシュート2本に終わったが、得点以上に圧巻だったのが、彼のポストプレーとパスだ。

 5分にハイボールを正確なヘッドで乾貴士につなげたところから、先制点のセットプレーが生まれ、先制直後にも後方から入ったボールをワンタッチで浮かせて巧みに相手DFをかわし、ヤゴ・ピカチュウに決定的なスルーパスを通した。28分にもピカチュウからのパスを意図的に浮き球にしてDFのアタックをかわし、右に展開して決定機につなげた。

 当然、柏の守備陣は厳しくマークに来ていたが、そのほかの場面でも相手を背負いながら後方からのパスをきっちりと収めて、確実につなぐプレーが非常に目立ち、昨年見られた球離れの遅さは一切感じられなかった。

 これだけボールを収め、タイミング良くパスを出してくれれば、後ろの選手も思い切って前へ走れるし、それが攻撃の良い流れを生む最大の原動力となっている。また、T・サンタナとカルリーニョス・ジュニオ、ピカチュウというブラジル人同士の関係性が非常に良く、乾も含めて攻撃陣が全体的にプレーの質を向上させている。
 

次ページT・サンタナはチームの攻撃を活性化させ続けられるか

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事