【J1採点&寸評】広島×鳥栖|鳥栖の堅守をこじ開けられず、ホームで勝点1止まり。広島が年間首位を明け渡す

2015年09月19日 小田智史(サッカーダイジェスト)

決定力に課題を残し、佐藤の記録達成もお預けに。

【警告】広島=千葉(75分) 鳥栖=藤田(90+4分)、鎌田(90+4分)
【退場】なし
【MAN OF THE MATCH】チェ・ソングン(鳥栖)

【試合内容】
 試合は序盤、鳥栖がハイプレスを仕掛けて広島のボール回しを封じる。しかし、広島もすぐに立て直し、徐々に攻勢を強めていく。19分にはミキッチ→佐藤→ドウグラスとつないで最後は柴﨑がヘディングシュートでゴールを脅かす(結果はGK正面)。その後もサイド攻撃と縦パスを上手く織り交ぜてチャンスをうかがうが、鳥栖の堅い守備を打ち崩せず。お互いに決定機なく、スコアレスで前半を折り返した。
 
 後半も広島がボールを支配する展開は変わらないが、鳥栖も運動量を落とさずにハイプレスを続ける。57分には連係から佐藤がシュートを放つもゴールならず。佐藤は71分に浅野と交代し、J1通算最多得点記録の達成はお預けになった。
 
 お互いにカウンターの応酬となった試合は最後までゴールが生まれず。スコアレスドローでフィニッシュ。広島は得失点差でステージ首位こそ守ったが、年間順位で浦和に抜かれ、2位に転落した。

【J1 PHOTOハイライト】2ndステージ・11節

【チーム採点・寸評】
広島 5.5
柴﨑がスタメンに戻るベストメンバー。支配率60パーセントとボールは支配していたが、人数をかけた堅い守備にことごとく撥ね返され、割り切って戦ってくるチームへの対応に課題をのぞかせた。
 
鳥栖 6
豊田と水沼を欠き、システムも導入から日が浅いなか、クラブの信念である「ハードワーク」と「良い守備」を徹底。終盤になっても運動量を保って、最後まで広島を苦しめた。
 
【広島|採点・寸評】
GK
1 林 卓人 6
72分、ゴール前へのロングスローへの対応はバランスを崩してヒヤリとしたが、大事には至らず。鳥栖が自軍にこもる時間が長く、枠内へのシュート2本も正面と決定的なピンチはなかった。
 
DF
4 水本裕貴 6
早坂のスペースを突く動きに粘り強く対応。抜かれていれば致命傷になりそうなカウンターの場面もパスカットで防いだ。3バックの連係も良く、組織でゴールを守った。
 
5 千葉和彦 6
くさびへの反応、最終局面での守備は安定感抜群。90+2分、球際に飛び込み左足を痛めるも、足を引きずりながら最後までピッチに立ち続けた。
 
33 塩谷 司 6
相手のシャドーをフィジカルで迎撃。果敢にミドルを狙って膠着状態の打開を試みるなど、攻撃面は試合を重ねるごとに本来の迫力を取り戻しつつある。
 
MF
6 青山敏弘 6.5
複数人をかけた厳しいマークで縦パスの本数は少なかったが、少ないチャンスのなかで佐藤にパスを通すなど、"技あり"のプレーは秀逸。泥臭く、堅実にチームを引っ張った。
 
8 森﨑和幸 6
冷静なビルドアップと、キックフェイクを入れながらのサイドチェンジでプレスをいなす様は熟練の域。カウンターを防ぐファーストディフェンダーの役割も果たした。
 
9 ドウグラス 5.5
空中戦、地上戦ともに力強く、前線でタメを作った。ただ、高橋、キム・ミヌ、チェ・ソングンに素早く挟み込まれて動きを制限され、シュートも枠を捉え切れなかった。
 
14 ミキッチ 5.5
中央を固める相手の前に供給するクロスを撥ね返される。鋭い突破を見せ、チェ・ソングンとの1対1に負けたわけではないが、不完全燃焼の感は否めない。
 
18 柏 好文 6
やみくもに仕掛けるのではなく、緩急をつけながら上手く推進力を発揮。柴﨑とのワンツーで崩すなどバリエーションが増え、対面の吉田との攻防も見応えがあった。
 
30 柴﨑晃誠 6.5
8試合ぶりのスタメン復帰。配球役、中継役、プレス役、フィニッシャーと多彩な役割をこなし、チームに落ち着きと安定感をもたらした。
 
FW
11 佐藤寿人 5.5
鳥栖の堅守とオフサイドトラップに苦戦。そのなかでも2本のシュートを放ち、したたかにチャンスをうかがったが、J1通算157点目のゴールネットは揺らせず。
 
交代出場
FW
29 浅野拓磨 5.5
記録のかかった大先輩に代わりピッチへ。相手の運動量が落ちず、スペースもほとんど生まれなかったため、持ち前のスピードを発揮できなかった。終盤にゴール前でシュートを放つも相手DFにブロックされた。
 
MF
7 森﨑浩司 -
故障が癒え、リーグ戦で約2か月ぶりの出場。ボールを受けてもチャンスにつなげられなかったが、必死にチェイシングする姿はベテランの意地を感じさせた。
 
監督
森保 一 5.5
「守りの堅い相手にチャンスを決め切るのは永遠の課題」と話すように、引き分けでOKとする相手を打ち破れず。勝点1獲得にとどまった。
 

次ページ1対1に強い吉田とチェ・ソングンのサイド起用が見事に的中。

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