E-1選手権でテストしてほしい。三笘薫とはまた違うタイプのドリブラー

2022年07月03日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

紺野の左足は試合の流れさえ変えるポテンシャルを秘める

福岡戦で豪快なゴールを決めた紺野。E-1選手権でテストしても面白いタレントではないのか。写真:徳原隆元

[J1第19節]FC東京2-2福岡/7月2日/味の素スタジアム

 7月19日から始まるE-1選手権のメンバーに選ばれる選手はいるだろうか。そんなことを考えながら、FC東京と福岡の一戦を現地取材していた。森保監督はこの大会を国内組主体で戦うと明言している。清水の鈴木、湘南の町野あたりは現在の活躍ぶりを考えると、招集される可能性は高そうだが、果たしてFC東京の松木はどうか。

 高卒ルーキーにしては本当によく頑張っている。酷暑でもよく走り、最後までボールに食らいつく姿勢も素晴らしい。しかし、代表レベルのプレーを見せているかと言えば疑問符がつく。前節の鳥栖戦でもそうだったが、サイドの守備で軽いプレーを見せるケースがあり、まだチームを支配できるほどの貫禄もない。同じインサイドハーフなら、チームメイトの安部のほうが上という評価は、個人的に今季開幕当初から変わらない。

 そんな松木よりもE-1選手権でテストしてほしいのが、レフティでテクニシャンの紺野。三笘とはまた違ったドリブラーで、そのプレースタイルはあのメッシを彷彿とさせる。独特の間合いで仕掛けるドリブルはもちろん、思い切りの良さが魅力である。
 独力で相手をかわせるうえに、強烈な中距離砲も備えているのだ。昨季の37節で決めた広島戦のゴールと同じく、この福岡戦で叩き込んだボレーも実にファンタスティックで、ミドルレンジからああいう得点を奪える選手は貴重な戦力になる。

 その点で、是非E-1選手権で試してほしい。6月シリーズ、日本代表は先行されたブラジル戦、チュニジア戦で追いつける気配すらなかった。エリア内になかなかボールを持ち込めず、チャンスすら作れない展開にヤキモキしたサポーターは多かったはずだ。エリア内まで持ち込めないなら、紺野のようにミドルレンジから豪快な一発を打てるアタッカーを大胆起用してみる手はあるだろう。

 紺野はFC東京で定位置を掴んでいるわけでないし、代表なんて早いだろうとの意見もあるのは承知だが、いずれにしても、紺野の左足は試合の流れさえ変えるポテンシャルを秘める。福岡戦のスーパーボレーをきっかけにこのテクニシャンがブレイクを果たしても不思議はない。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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