メガクラブを揺るがす“いじめ自殺”の可能性。チェルシーの新オーナーは「旧体制の見直し」を宣言

2022年07月02日 サッカーダイジェストWeb編集部

「仕事を失ったことで絶望していた」

アブラモビッチ政権終焉後の不安定な状況下で、痛ましい事態が明るみになった。(C)Getty Images

 プレミアリーグの名門を巡る、驚くべき事態だ。

 発端は現地時間6月29日付けのアメリカ紙『New York Times』の一報だった。チェルシーのマーケティング部門で働く12人の従業員が、上司からの非難に苦しんでいる実情を告白。人が多い場所での叱責をはじめ、無茶な振る舞いが繰り返されたことで、当初50人いたスタッフは10人以上が辞職し、少しずつ数は減り続け、そして1月上旬、人望の厚かったある男性が自殺した。

 同紙は「当初は職場のプレッシャーが死因という確固たる証拠はない」としつつも、この人物の死は周囲のスタッフに多大なるショックを与えたという。そこで同紙は元・現従業員10人近くに取材を敢行。

「チェルシーの職場環境は機能不全に陥っており、不幸と脅迫と恐怖に満ちていることが分かった」と報じ、「チェルシーTVの元責任者リチャード・ビグネルが1月に自殺したことで、マーケティング内の環境と、同部の部長ゲイリー・トゥエルベトゥリーの行動に関する長年の懸念が明るみに出た」と名指しで批判した。
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 加えて、「愛されながらも10年間勤めたクラブを病気療養のため辞め、昨年9月に復帰したが、なぜかその日に解雇された。仕事を失ったことで、不安、うつ、絶望に深く悩まされていた。1月にピグネルが亡くなった後にまとめられた検死報告書では、要因は職を失ったことによる絶望とある」と、上司による"いじめ自殺"の疑いが濃いと批判したのである。

 この報道を受け、チェルシーの新オーナーであるトッド・ベーリー氏は翌30日に声明を発表。「全従業員の職場環境を見直す。改めて外部調査チームを投入する。すべての職員の身体的、精神的な健康と幸福が最も重要である」と旧体制を見直す方針を明らかにしている。

 また、英公共放送『BBC』によれば、ピグネル氏の家族に対するお悔やみと、その後のフォローを弁護士を通じて申し出たそうだ。

 チェルシーは、ロシアのウクライナに対する軍事的侵攻により、前オーナー、ロマン・アブラモビッチによる"時代"が唐突に終わりを迎えた。その後、売却先もなかなか決まらずに不安定な状況が続いたなか、売却先が決まり、旧体制にメスが入った。新オーナーのもと、再スタートを切ろうとしているが、その行く先が全ての職員にとって幸せなものであるように祈るばかりだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
 
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