金田喜稔がカンボジア戦を分析|オーソドックスすぎた日本の攻撃は、格下でも守れるレベルだった

2015年09月04日 サッカーダイジェスト編集部

サイドアタックは、そのほとんどが効果的ではなかった。

30本以上のシュートを放ちながら、3得点しか奪えなかった日本。今ひとつキレを欠いた岡崎も不発に終わった。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

  勝ったのは評価できても、それ以外に収穫はなかった。

【PHOTOギャラリー】日本 3-0 カンボジア

【日本×カンボジア】マッチレポート
 
 カンボジアにしろ、次戦のアフガニスタンにしてもワールドカップ・アジア2次予選は徹底的に引いた相手との勝負は避けられない。難しい試合になるのは分かるが、ただそれ以前として、この試合は全体的にピリッとしなかった。
 
 活躍が期待された香川や岡崎のコンディションは悪く、なにより気になったのは非効率的に映ったサイドアタックだ。酒井宏や長友がクロスを上げるシーンは多く見られたが、ほとんど撥ね返されてばかり。本当に惜しかったのは、武藤のクロスから香川が決定機を外した42分のシーンくらいだったのではないか。
 
もちろん、クロスを上げる側にも問題はあったが、受け手もDFのマークを振り切らなければいけない。ところがそれを徹底できず、岡崎や武藤はクロスに飛び込んではいたが、事前にDFを外し切れてはいないシーンが多かった。それでは得点を奪えるはずはない。
 
もっとも、DFに密着マークされながらそれを振りほどくのは簡単ではない。だとすれば、相手が少しでも守りにくい状況を作り出す必要がある。一方のサイドから徹底的に攻め込むのもひとつの手かもしれないが、サイドチェンジを繰り返し揺さぶりながら両サイドを攻め込めば、DFからするとマークしずらくなり、ひいてはゴール前にスペースが生まれる可能性が高まる。
 
この試合、左右両サイドを使っての攻撃はたしかに見られたが、その〝揺さぶり″はやや物足りなかった。右サイドから攻め込むと見せかけて、思い切って逆サイドに展開しそこから攻め込むような形がもう少しあっても良かったのではないか。
 
 それと、単純にクロスを放り込んでいたので、カンボジアの守備陣は時間の経過とともに対応に慣れていた印象も受けた。相手の守備陣形が整う前にGKとDFの間にアーリークロスを送り込むなど、ひと工夫していればまた違ったんじゃないかと思う。

次ページペナルティエリアの角を意識的に使う攻撃の形を確立していくべき。

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