【神戸】「ピッチコンディションは勝敗を分ける」――。指揮官が力説するスタジアム変更で起きたチームの激変ぶり

2015年08月30日 本田健介(サッカーダイジェスト)

気持ちよくサッカーをし、クラブ新記録の7ゴールを奪取。

会場変更が奏功した神戸。レアンドロ(11番)、渡邉(19番)ら攻撃陣が爆発し、鳥栖に大勝した。写真:J.LEAGUE PHOTOS

 ここまで変わるものか――。

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 芝の状態が悪いノエスタから神戸ユニバーへスタジアム変更した初戦で、J1でのクラブ新記録となる7ゴールを奪取。鳥栖に完勝したチームは、これまでとは別モノに思えるほどの強さを発揮した。
 
 今季、ノエスタで12戦してわずか2勝。「Jリーグのピッチはどこも最高のピッチばかりだと思っているが、うちのピッチはそうではない」(ネルシーニョ)と、"芝問題"への言及は度々行なわれてきた。その言葉の数々は負けた際の常套句にも聞こえていたが、今回の完勝劇を見ていると、監督や選手たちの主張は決して間違いではなかったようだ。
 
 確かに鳥栖の低パフォーマンスに助けられた部分はあった。それでも「流れが良い時に失点してしまうケースが多く、今回もそういう時間帯に失点してしまった」(チョン・ウヨン)と、26分の先制点献上で、お決まりの負けパターンにはまるかと思われたが、「ピッチが良かった分、気持ちよくサッカーができた」(岩波)という選手たちはいつにない反発力を見せた。
 
 失点から8分後に渡邉のゴールで同点に追い付くと、前半ロスタイムには左サイドを突破した相馬のクロスにレアンドロが合わせて逆転に成功する。
 
 そして後半はさらに一方的な展開に持ち込む。パスサッカーとカウンターを攻撃の両輪とする今季のチームは、芝の荒れたノエスタでは上手くパスをつなげずに苦しんだが、神戸ユニバーでは左右からの崩し、カウンター、セットプレーと多種多様な形でゴールラッシュへと結びつけた。
 
 指揮官は試合後、「まず、スタジアムの変更のために理解と努力をしてくださったヴィッセルのフロントをはじめ、すべての方々にお礼を申し上げたいと思います」と感謝の言葉を述べ、「やはりピッチのコンディションは勝敗を分ける要素だと思う。持っている技術を出すために今日のピッチコンディションを利用できた。選手たちは自信を持って、大胆なプレーを選択できた」と勝因を語った。
 
 そして「今日の試合のスコアは別にして、内容には驚きはない。このチームにクオリティがあることは、私自身が一番分かっている。今日の内容は彼らが持っている力をゲームプランのなかで出してくれたからだと思う」と自慢げに続けた。
 
 今後のホーム3戦は神戸ユニバーでの開催が決まっている。芝の生育問題でシーズン中にスタジアムを変更し、それがチームのパフォーマンスに大きな影響を及ぼすとは、過去になかなか例を見ない事象だが、この珍事がチームの大きな追い風になる可能性は高そうだ。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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