【名古屋】小川が代表コンビの永井と川又を容赦なく叱責。「とにかく自分がボールを受けることに必死過ぎる」

2015年08月23日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

「自分がボールを受けることに必死で、動きが被るシーンが結構あった」(小川)。

小川は「自分がボールを受けることに必死で動きが悪い」と永井、川又を叱責。彼らの出来が今後の大勢に大きな影響を与えるだけに、ふたりの奮起に期待したい。(C) J.LEAGUE PHOTOS

「正直、上位らしい戦いではなかったですね」
 
 左WBで攻守に渡り汗をかいた名古屋の小川は試合後、不満気な表情を浮かべこう漏らした。

【J1 PHOTOTハイライト】2ndステージ・8節
 
 勝てば首位に肉薄するチャンスがあったFC東京との一戦はスコアレスドロー。チャンスは作ったが決め手を欠き、小川の言うとおり、いわゆる"上位対決"に相応しい白熱さに欠けていたのは間違いない。
 
 とりわけ名古屋の攻撃は、FC東京のそれと比べてクオリティも、バリエーションも劣っていた。毎度のことではあるが、まるで、「それしかない」と言わんばかりにカウンターへ固執。ある意味、パターン化されていた攻めに「ウチの攻撃は相手にとって怖くなかった」(小川)と言うのも無理はない。
 
 その点FC東京は、ゴールまでのあと一歩を崩せなかったとはいえ、怖さはあった。中央とサイドを有効に活用しながら、細かなパスワークでの崩しを見せたかと思えば、前線の前田やN・バーンズへのロングボールを送りカウンターを仕掛ける。「前半は決定機をたくさん作った。非常に良い試合だった」と、敵将のフィッカデンティ監督が言うのも頷ける。
 
 そもそも、この日の名古屋は得意のカウンターでもさほど脅威は与えられていなかった。そのひとつの問題点を、小川はこう指摘する。
 
「永井も(川又)堅碁も動きが悪い。もっと味方の動きを見てボールをもらう動きをしないと。お互いがめちゃくちゃ近くにいたり、逆に離れすぎていたり、とにかく自分がボールを受けることに必死で、動きが悪い。ふたりが被っていたシーンが結構あった」
 
 縦への推進力をもたらせる永井、その動きを見ながら、スペースでボールを受けフィニッシュに持ち込む川又。このふたりの存在は、名古屋のストロングポイントだ。ゆえに、彼らが躍動感を放てば攻撃が上手く回る半面、期待どおりに働けなければ、機能不全に陥る危険性もはらむ。
 
 果たしてこの試合、二度の決定機を活かせなかった永井、シュートゼロで途中交代を命じられた川又の出来は明らかに悪く、ひいては、攻撃が停滞した。
 
 小川の言うように、本来に比べると彼らの距離感に問題はあった。中断前までは、相性の良さを感じさせる連係が見て取れたが、この日は、永井がボールを持っても、川又が前方に走り出していない場面が何度も見られた。
 
 特にゴール前で勝負すべきはずの川又が、中盤でボールを受けるために下がるシーンばかりが目に付いたが、それで良いはずはない。もちろん、ゴール前に張り巡らされた相手の守備網を突破するのは困難だったのも確かだ。しかしだからこそ、フィジカルや身体能力を活かしながら、ゴール前で迫力を出すべきだったのではないか。
 
 第2ステージ序盤の攻撃を牽引してきた永井、川又のコンビだが、代表戦を境に勢いはやや陰りがちだ。もちろん、彼らに頼り切るばかりではこの先も攻撃が機能不全に陥る可能性は高く、この試合で復帰したL・ドミンゲスという強力なアタッカーを活かし、新たな攻撃バリエーションの創出に着手すべきなのも確かだ。
 
 とはいえ、永井、川又が秘める能力も当然無視はできない。オフェンス面での課題を解消する意味でも、彼らの奮起に期待したい。
 
 取材・文●橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)
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