湘南の“バズーカ”が復活か? 十八番のヘディングを決めて「自信をもってやっていける」

2022年05月16日 岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

「『自分は出来ないのではないか』という不安を持ってしまっていた」

十八番のヘディングで今季初ゴールを挙げたウェリントン。ここから得点量産なるか。写真:徳原隆元

[J1第13節]湘南1-4横浜/5月14日/レモンガススタジアム平塚
 
「ダメージの大きな敗戦になった」
 
 試合後、湘南の山口智監督が口にしたように、横浜戦は1-4で大敗と、上位に君臨するアウェーチームに違いを見せつけられた。だが、一概に試合内容のすべてが悪かったわけではない。

 シュート数は今季最多の21本と、攻撃は目を見張る出来だった。とりわけ14分に先制点を許すまでは敵陣でボールを奪い、ショートカウンターから横浜の守備陣を脅かし続けている。20分、59分と失点を重ねたあとも、相手ゴールに迫り続けた。
 
 不屈の精神が結実したのは83分だ。田中聡のスルーパスに反応した町野修斗がクロスを上げると、一度は相手DFにクリアされたが、こぼれ球を拾った田中が再びクロスを供給。「あの辺に上げればウェリ(ントン)が居るという感覚で上げた」という田中の想定どおり、ゴール前で待ち構えていたウェリントンが十八番のヘディングで今季初ゴールを挙げた。
 
 ウェリントンは身体を張ったポストプレーや献身的なプレッシングで貢献していたものの、これまでノーゴールが続いていた。ストライカーなら得点が最大の仕事なのは間違いないだろう。湘南サポーターからも心配の声があがっていたなか、不安を払拭する非常に彼らしい一撃だった。
 
 試合後、取材に応じたウェリントンは、無得点の期間について「すごく嫌な気持ちだった。特に湘南ではこれまで何点も決めてきているので、2試合でもゴールを取れないと『自分は出来ないのではないか』という不安を持ってしまっていた」と赤裸々に心情を明かした。
 
 昨季はコロナ禍の影響でチームへの合流が遅れたものの、加入後1試合目のアウェー清水戦で超人的なヘディングを決めて勢いに乗り、公式戦で7ゴールを挙げた。それだけになかなか結果が出なかった今季は、相当な不安を抱えていたのだろう。
 
 今季初ゴールとなったヘディング弾については「負けてしまったことは残念だが、自分がゴールを決めてチームメイトがすごく喜んでくれた。この得点で肩の力が抜け、昨季のように自信をもってやっていける」と語り、得点への意欲をむき出しにした。
 
"バズーカ"の異名を持つウェリントン。昨季のエースが今季初得点を足がかりに完全復活を遂げれば、得点力不足に悩む湘南を最下位から救うはずだ。
 
取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)
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