レアル・マドリー コバチッチに電撃アプローチの舞台裏

2015年08月17日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

交渉のスタートは、15日夜のマドリーの打診メールから。

マドリーへの移籍交渉が進展するコバチッチ。電撃的な展開の舞台裏を移籍市場専門のディ・マルツィオ記者が明かす。 (C) Getty Images

 週末に突然持ち上がったクロアチア代表MFマテオ・コバチッチ(インテル)のレアル・マドリー移籍話は、わずか数日で成立に向う見通しだ。
 
 R・マドリーは8月15日夜に移籍の可能性を打診するメールを送信、これを受けたインテルが移籍金3500万ユーロ(約49億円)という前提で話し合いに応じる姿勢を見せたことから、交渉は一気に進展した。
 
 R・マドリーのオファーは当初「移籍金2500万ユーロ(約35億円)+ボーナス」というものだったが、翌朝には「3200万ユーロ(約44億8000万円)+ボーナス」まで条件がアップ。両者の溝が一気に狭まったことに加え、インテル・サイドではすでにエリック・トヒル会長、ロベルト・マンチーニ監督がともに移籍に同意していることから、週明けには詳細の詰めを経て合意に達するものと見られている。
 
 16日に行なわれた親善試合(対AEKアテネ)にコバチッチを招集していたにもかかわらず、ピッチに送らなかったマンチーニ監督は、試合後次のようにコメントしている。
 
「我々は誰ひとり彼を手放したくなかった。しかしファイナンシャル・フェアプレーという守るべきルールがあり、それに適合するため貴重な戦力を手放すことも時には必要だ。
 
 会長も私も選手たちも残念に思っている。シャキリ(ストークへ)やコバチッチのような選手を手放すことは誰も望んでいない。しかしこの犠牲を払うことで我々は他のオペレーションを進めることができる。
 
 開幕までもう1週間しかない。チームに合った戦力をなるべく早く獲得できるよう祈っている」
 
 実のところインテルは、週明けにもイングランドのある有力クラブとコバチッチについて話し合う予定になっていた。週末にR・マドリーが一気に動いたのは、その情報をつかんだことも理由と見られる。
 
 R・マドリーは昨夏も、カルロ・アンチェロッティ前監督の強い希望でコバチッチ獲得に乗り出したが、移籍金で折り合いがつかず見送ったという経緯があった。
 
 R・マドリーでは、クロアチア代表のチームメイトであるルカ・モドリッチも、以前から「スポンサー」としてコバチッチの獲得をクラブに働きかけてきたという。
 
 モドリッチはディナモ・ザグレブの「後輩」でもあるコバチッチに目をかけ、代表における自らの後継者としてサポートしてきた。今後はR・マドリーにおいても同じような関係が築かれていくことだろう。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
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