プレミアリーグのマンチェスター・シティに所属するウクライナ代表MFオレクサンドル・ジンチェンコは、母国に対して、そして母国に軍事的侵攻を仕掛けているロシアに対しての想いを明かした。現地紙『The Guardian』が４月15日付けで伝えている。

　ジンチェンコはロシアの軍事的侵攻が始まってから、プレミアリーグでの同胞であるアンドリー・ヤルモレンコ、ヴィダリー・ミコレンコらとともに母国の悲劇の現状を訴え続けてきた。

「僕は毎日、携帯電話を手放すことができない。侵攻が始まって７週間以上経ったせいか、ウクライナが受けている残虐な事態を忘れて順応している人もいるような気がする。でも、それは違うんだ。今日も人々は飢え、亡くなり、死体が発見されている。ウクライナでリラックスできている人はいない。もっと訴えないといけない。だから僕は、話すことを止めない」

　そして、ロシア軍に対しては「彼らは、何のために戦っているんだろう？ おそらく彼らはなぜ来たのかも分かっていないんだ」と語った。
 

「兵士はまだしも、ロシアの多くの人々が沈黙しているのは理解できない。僕にも友達はいたけど、今はほとんどゼロだ。ひとりの男は侵略が起きた後すぐに電話をかけてきて、『残念だけど何もできない』とメールをくれた。でも黙っていれば、今ウクライナで起きていることを支持することになるのに、なぜそうするんだろう。

　ロシア人は政府に抗議すると刑務所に入れられるかもしれないという不安があり、怖いのかもしれない。でもサッカー選手や有名人がいっせいに『みんな、戦争を止めよう』と投稿したら全員が逮捕されるのか？ そんなことにはならないだろう。彼らが黙っていることは、とても残念に思う」

　また、こんな状況でサッカーに集中できるのか、という質問には「簡単じゃないんだ」と正直な心の内を明かしている。

「常にウクライナや仲間たちのことを考えている。でもサッカーは僕の人生でもあるし、一番楽しんでいることだから、プレー中は集中しようと思っている。難しいけれど、今はそう切り替えるのが少しうまくなった。だからといって全く考えていないとは言えない」

　カタール・ワールドカップの欧州予選プレーオフで延期されていたウクライナ対スコットランドは、６月１日に開催される予定だ。

　ジンチェンコの参戦も濃厚視されるが、「今、一番大切なのは国を守ることだ。サッカーのことを考えている人はいないと思う。でも、この戦争に勝つことができれば、僕らは何か特別なものを作ることができる。そう確信している」と１日も早く戦争が集結することを望んでいると語った。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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