8.14 ブンデスリーガ開幕! 「魔法の4」への挑戦 【バイエルン番記者】のシーズン展望

2015年08月13日 パトリック・シュトラッサー

目指すのは「当然の目標」であり「前人未踏の大偉業」

プレシーズントーナメントのアウディカップで優勝するなど、調整は順調に進んだバイエルン。前人未踏のリーグ4連覇に3冠という偉業に挑むシーズンが、いよいよ開幕する。 (C) Getty Images

 8月14日、ブンデスリーガの2015-16シーズンが開幕する。
 
 その日に1試合だけ開催されるオープニングマッチは、王者バイエルンがホームでハンブルクを迎え撃つ。
 
 それにしても、スケジュールを制作したリーグの担当者はなぜ、この対戦カードを選び出したのだろう。なにしろハンブルクは、バイエルンのホームで惨敗を重ねているのだ。昨シーズンから順にさかのぼると、0-8、1-3、2-9、0-5、0-6と救いようのない敗北を繰り返している。
 
 このハンブルク戦を皮切りにバイエルンが目指すのは、「当然の目標」であり「前人未踏の大偉業」だ。マイスター(リーグ優勝)という当然の目標が今シーズンは特別なのは、それが4連覇となるからだ。
 
 ブンデスリーガの歴史において、4連覇は一度も達成されていない。バイエルンも過去三度挑みながら、いずれも逃している。現名誉会長のフランツ・ベッケンバウアーが君臨した1970年代前半も、現CEOのカール=ハインツ・ルムメニゲやローター・マテウスを擁した80年代中盤も、オットマール・ヒッツフェルトが指揮した90年代後半から2000年代前半にかけても、3連覇までだった。
 
「魔法の4」と表現して偉業達成に並々ならぬ意欲を見せるのは、スポーツディレクターのマティアス・ザマーだ。
 
「我々は無敵であるということを体現しなければならない。目標は4年連続のマイスターだ。歴史を作りたい」
 
 歴史を塗り替えるその挑戦に、キャプテンのフィリップ・ラームも意気軒昂だ。
「これまでに達成されていない何かを成し遂げるのは、素晴らしいこと。モチベーションになる」
 
 しかし、歴史的な4連覇を成し遂げたとしても、来年5月に手元にあるのがそのマイスターシャーレだけだとすれば、クラブにとって今シーズンは「失われた1年」ということになる。
 
 マイスターの1冠はいわば当たり前。少なくとも昨シーズン同様の2冠、真の目標はチャンピオンズ・リーグの覇権を奪還しての3冠達成だ。ユップ・ハインケスの下で12-13シーズンに成し遂げたメジャー3タイトル全制覇が、これがおそらくラストシーズンとなるペップ・グアルディオラが目指すところである。
 
 そのために、クラブ首脳は7900万ユーロ(約111億円)を移籍市場に投じてアルトゥーロ・ビダル、ドグラス・コスタ、ヨシュア・キンミッヒ、スベン・ウルライヒを獲得。戦力を増強した。
 
「3冠が目標でなければならない」と語るのはビダル。昨シーズンはユベントスでその3冠をあと一歩のところで逃し、個人的にも強いこだわりがある。
 
「それをバイエルンで達成できたらいいね」
 
【記者】
Patrick STRASSER|Abendzeitung
パトリック・シュトラッサー/アーベントツァイトゥング
1975年ミュンヘン生まれ。10歳の時からバイエルンのホームゲームに通っていた筋金入りで、1998年にアーベントツァイトゥングの記者になり、2003年からバイエルンの番記者を務める。2010年に上梓した『ヘーネス、ここにあり!』、2012年の『まるで違う人間のように』(シャルケの元マネジャー、ルディ・アッサウアーの自伝)がともにベストセラーに。
【翻訳】
円賀貴子
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事