「頭おかしくなるよね」家本政明が審判時代の壮絶な苦悩を振り返る「2人がいなかったら多分、辞めているか…」

2022年04月10日 サッカーダイジェストWeb編集部

「もう辛いよね」と正直な気持ちを吐露

元国際主審の家本氏が播戸氏のYouTubeチャンネルに出演。レフェリー時代の日々を振り返った。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 元日本代表の播戸竜二氏が、自身のYouTubeチャンネル『播戸竜二のおばんざい屋』の最新コンテンツを投稿。元国際主審でプロフェッショナルレフェリーも務めた経験を持つ家本政明氏をゲストに迎え、様々なトークを繰り広げた。

 昨年12月の横浜F・マリノス対川崎フロンターレの試合をもって、レフェリーとしてのキャリアにピリオドを打った家本氏。播戸氏が現役時代に出場した試合でも度々、笛を吹き、「多分、退場にはされていないような気がするんですよね」と播戸氏が思い返すと、家本氏は「でもすげぇワナワナ言われた記憶はある(笑)」と笑顔を見せる。

 ひとりの人間がジャッジを下すという難しい仕事で、時には厳しい声が聞こえることもあった。「死ぬほどブーイングを浴びるわけじゃないですか?」と問いかける播戸氏から「サポーターも言う、どっちのコーチングスタッフも言う。あの時とかどんな感じだったんですか?」と心境を聞かれた家本氏は「もう辛いよね」と正直な気持ちを吐露する。

 それでも「良い経験」と捉える家本氏に、播戸氏が「ちょっと物議を醸すじゃないですけど、何個かあるじゃないですか?」と突っ込むと、家本氏は次のように応じる。

「あったね。2008年のゼロックスだったりとか、あるいは16年のチャンピオンシップだったりとか、17年の町田対名古屋で、本当は退場しなきゃいけない人、じゃない人を退場させてしまったとか。目立つところはたくさんあったよね」
 
 とりわけ、計14枚のカードを提示した08年のゼロックスでは、試合後にそのジャッジが疑問視され、無期限の審判割り当て除外を言い渡される。当時を家本氏は「無期限ってことは、5年かもしれないわけじゃん、極論な話。先が見えないとやっぱり人間って、不安だよね。どうしていいか分からない。頭おかしくなるよね」と回想する。

 もちろん、自身のパフォーマンスについては、どこが悪かったなど分析はできていた。「それ以外のところの話で、気持ちの置きどころとか、整理の仕方がよく分からなかった」と振り返る。

 そんな家本氏を支えたのが「今の妻と、僕が師匠と仰いでいる夏嶋先生」だったという。「この2人に救われた。2人がいなかったら多分、あの時点で辞めているか、気が狂っているんじゃないかな」と神妙に語った。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

【関連動画】元日本代表の播戸竜二氏と元国際主審の家本政明氏が対談。レフェリーという"孤独"とは?
 

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