「正直、フットボールのことを考えるのは難しい」ウクライナの英雄ヤルモレンコが“魂のゴラッソ”に感涙「すごくすごくエモーショナル」

2022年03月14日 サッカーダイジェストWeb編集部

「記憶に刻まれる、感情を揺さぶられるゴール」

鮮やかな先制点を決め、天に向かって哀悼の意を示すヤルモレンコ(右から3人目)。本拠地は爆発的な歓声に包まれた。(C)Getty Images

 ウクライナの英雄が祖国に捧げるゴラッソを叩き込んだ。

 現地時間3月13日、イングランド・プレミアリーグのウェストハム・ユナイテッド対アストン・ビラ戦が行なわれ、ホームチームが2-1で勝利。その先制点を決めたのが、ウェストハムのウクライナ代表FWアンドリー・ヤルモレンコだ。
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 52分に怪我のミハイル・アントニオに代わってピッチに登場すると、本拠地ロンドン・スタジアムの大観衆から万雷の拍手が沸き上がる。すると70分、サイード・ベンラハマからのパスをエリア内で受けたヤルモンレンコは、ワントラップして振り向きざまに自慢の左足を振り抜き、鮮やかな一撃をゴールに蹴り込んだ。

 ひざまずいて天に向かって両手を突き上げ、感涙にむせぶ背番号7。チームメイトたちが幾重にも重なって祝福し、スタジアムのボルテージは最高潮に達した。ウェストハムはその後加点し、敵の反撃を1点に食い止めて逃げ切っている。

 ヤルモレンコにとっては、2月5日のFAカップ4回戦(キダ―ミンスター戦)以来となる公式戦出場だった。2月24日にロシア軍が母国であるウクライナへの侵攻を開始し、隣国ポーランドへ退避する妻と子どもたちを迎えに現地入り。なんとか対面を果たして連れ帰ることに成功し、ようやくチーム練習に復帰して臨んだのが、今回のアストン・ビラ戦だったのだ。
 

 試合後、ヤルモレンコは「誰もが僕の祖国と僕の置かれた状況を知っている。正直、いまはフットボールのことを考えるのは難しいんだ。毎日のようにロシア人たちがウクライナの人びとを殺戮しているのだからね」と率直な想いを明かし、次のように言葉を紡いだ。

「(ゴールを決めて)すごくすごくエモーショナルだった……いまはそれしか言えない。本当になんて言えばいいか分からない。ただエモーショナルなんだ。練習は十分できなかったし、100%フィットしていたわけじゃないけど、全力でプレーしたよ。いつも僕をサポートしてくれるチームメイトに感謝したいし、ウェストハムのファン、そしてすべての英国の人びとにもありがとうと言いたい。僕たちウクライナを支えてくれて、本当に感謝の言葉しかない」

 侵略戦争の犠牲になった人びとに捧げ、戦禍に苦しむウクライナの人びとに勇気を与えたファインゴール。英『Sky Sports』の実況も「記憶に刻まれる、魂を揺さぶられるゴール」と称えた。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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