京都戦で見えた光明。アグレッシブに襲い掛かる湘南の“新3ボランチ”は圧巻だった

2022年03月13日 岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

11分からの連続したボール奪取と攻撃は圧巻だった

左インサイドハーフを務めた田中聡。持ち前のボール奪取能力と積極果敢な仕掛けでチームに推進力をもたらした。写真:金子拓弥

 J1リーグ4節の湘南ベルマーレ対京都サンガF.C.が3月12日、レモンガススタジアム平塚で行なわれ、1-1のドローに終わった。
 
 この日のホームチームは、今季のリーグ3試合では鳴りを潜めていた「湘南らしさ」を存分に発揮。躍動したのは、3ボランチを組んだ永木亮太、米本拓司、田中聡だ。ハイプレスで相手のSBとインサイドハーフを潰せば、セカンドボールも素早く回収。攻撃時は積極果敢に空いているスペースへ飛び出し、2トップやウイングバックからボールを引き出した。
 
 特に3ボランチが圧巻だったのは球際の強度だ。象徴的だったのは11分からのシーンで、高い位置でボールを失った瞬間、すぐに切り替えてプレッシャーをかけてボールを奪い返しショートカウンターを仕掛ける。そこで再びボールをロストしても中盤ですぐ奪い返し、連続して攻撃を仕掛ける。得点にはつながらなかったが、ペースを手繰り寄せる好プレーだった。
 
 永木、米本、田中が揃ってスタメンに名を連ねたのは今季初。これまでは山田直輝や茨田陽生、U-21日本代表に初招集された平岡大陽らが先発だった。それぞれ違った特長を持つが、京都戦の3ボランチが見せた相手に襲い掛かるような守備は「湘南スタイル」を最も体現していたと言えるだろう。
 
 しかし結果は勝点1。好材料を見いだせた一方で課題も散見された。
 
 47分に先制を許したシーンは、プレッシング時に永木と田中の動きが被り、こぼれ球を奪われたところが起因だった。守備意識の高さゆえに相手に食いつきすぎて簡単にかわされたり、複数人で相手を囲んでも奪いきれない場合にもピンチを招いてしまっていた。プレスに行くところ、行かないところ、そして誰が行くかなど、今後は守備を整備していく必要があるだろう。
 
 今季未勝利の湘南は京都戦で見えた光明を今後へつなげられるか。次節は3月19日、アウェーの鹿島アントラーズ戦に挑む。
 
取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)
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