【番記者“激薦”|名古屋】豪快極まりない空振りさえ魅力に。酒井宣福の果断なフィニッシュにワクワクが止まらない

2022年02月23日 今井雄一朗

ゴールキックをフリックして決定機を演出

今季から名古屋でプレーする酒井。豪快かつ多彩なフィニッシュが魅力の点取り屋だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 ついに幕を開けた今季のJ1リーグ。それぞれのチームとしての戦いぶりが気になる一方、ではその中で注目すべき選手は誰か――番記者が独自の観点で必見プレーヤーをピックアップし、その魅力を伝える。今回は名古屋グランパスのFW酒井宣福を紹介する。

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 神戸とのリーグ開幕戦の25分のシーンを覚えているだろうか。敵陣で稲垣祥が半ばクリアのようなハイボールをゴール前に送り、マテウス、仙頭啓矢とつながって最後は酒井宣福がフィニッシュをミスした場面だ。

 もちろんミスを責めようというのではない。あの空振りに、強烈な既視感があったのである。

 酒井と言えば、鳥栖の選手として昨季決めた数々の豪快なゴールが印象に強い。名古屋戦で決めた強烈なボレーや、川崎を相手に決めた打点の高いヘディングシュートなど、ストライカーとしての思い切りの良さが生み出した、いわゆる"ゴラッソ"が代名詞のようなところもある。

 リーグ屈指のフィジカルコンタクトの強さを活かしたポストプレーや空中戦のイメージもそのままの、パワフルなFWが酒井を表現するうえでは実にしっくりくる。
 
 それは名古屋移籍後も変わらず、チームのトレーニングでも仲間たちを驚嘆させ、神戸戦でもゴールキックをフリックしてそのまま決定機を演出するなどプレーにもさっそく表われた。沖縄でのキャンプでは連日居残りでシュート練習に励み、実に絵になるシュートシーンを数多く見せてくれたものだ。

 前置きが長くなったが、そのシュート練習の中で、数本に1回の割合で見たのが、神戸戦の25分に試みた打ち方だった。

 酒井はあのとき、左から来たボールを右足で、しかも足の外側でとらえようとして空振りしていたように見える。彼は右サイドから右足のアウトサイドを使い、蹴り足の外側に曲がるシュートで逆サイドネットに滑り込ませるのを自分の形として持っているようだった。GKからしてみれば素直にインパクトすれば直線的に触れられる軌道で来るはずのところを、伸ばした手の外を巻くようなコース取りでゴールを陥れられてしまう。

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