プレーの幅を広げつつ、ゴール前でどう関わるか。宮澤ひなたの「仕掛けて足を振る」に注目だ【女子アジア杯】

2022年01月28日 西森彰

「貪欲にゴールを狙っていきたい気持ちはある」

攻守に奮闘を見せる宮澤。決定的な仕事が増えれば、チームの推進力もさらに高まっていくだろう。(C)AFC

 宮澤ひなたと言えば、ドリブラーで、ストライカー。今シーズン、マイナビ仙台レディースでは「得点をとって、得点をとらせる選手」になっているが、それでも、相手ゴール近辺で躍動する姿が浮かぶ。

 だが、女子アジアカップでは、そうしたイメージとは少し違う。ポジションはサイドハーフ。フィニッシュではなく、その2つ、3つ前の起点になるシーンが目立つ。低い位置からクサビのパスを入れ、自陣内の深い位置での攻防にも、積極的に身を投じている。

 5-0で完勝した初戦のミャンマー戦では、危険なサイドアタッカー、サン・トウ・トウの突破を三宅史織(INAC神戸レオネッサ)と挟み込んで封じた。1-1で引き分けた今回の韓国戦では、アディショナルタイムにゴール正面の危険な位置でボールを持ったチ・ソヨンから奪い返してみせる。切り替えの早さやボールを奪い切るプレーを見ると、池田太監督から強く要求されてのことかと思ったが「言われなくても、やらなくてはいけないところ」と語る。

「自チームとはポジションも違うので、SBやボランチとコミュニケーションをとりつつ、自分が行くのか、カバーするのかというのも、もちろんありますが、まずは個人として1対1で負けないというところ。球際は、より意識していかなければいけない部分で、個人としても、チームとしても戦っていかなければいけないと思います」

 傍から見る分には、プレーの幅が広がったように感じるが、本人は決して満足していない。

「ゴール前で、どう関わるかは大事だと、どの試合でも感じていますし、貪欲にゴールを狙っていきたい気持ちはあるので、3試合で無得点というのは……。意識的に起点になっているというよりは、前にいる選手を見ながらの立ち位置、プレーになっていると思います」

 意図的に中盤でのプレーに重きを置いているのではなく、最後の崩しに入っていくタイミングがなかなかつかめないということか。そこは、今後の伸びしろともとれる。
 
 準々決勝のタイ戦に勝てば、オーストラリアの試合結果によらず、来年の女子ワールドカップの出場権が手に入る。ベスト8以降、優勝に向けて、現状の課題として「攻撃のスイッチをどうやって入れるか」を挙げた。

「1試合目、2試合目もそうですが、ボールを持っている時間は長かったんですけれども、チームとしても、個人としても、ゴール前の崩しやサイドチェンジがまだまだ足りないなと感じます。コミュニケーションをとりながら(プレーを)合わせていくというのがありますし、個人としては『まず、仕掛けて足を振る』ところを意識していき、あとは細かいズレを修正し、パススピードの精度を上げていきたいなと思います」

 チーム内の連係が成熟し、宮澤が決定的な仕事をする回数が増えれば、なでしこジャパンの推進力もさらに高まっていくだろう。

取材・文●西森彰(フリーライター)

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