【鹿島】石井監督の初手は“スライディング解禁”。意識改革で守備をテコ入れする

2015年07月26日 五十嵐創(サッカーダイジェスト)

わずか3日間の練習で、球際の激しさは見違えるほどに。

タイトな守備で相手のSBをケアした遠藤は、「完全にできていたわけではないけど、みんなが意識できていたと思う」と守備面の手応えを語った。写真:徳原隆元

 コーチから昇格した石井監督の初陣で、鹿島が意地を見せた。
 
 怪我から復帰した柴崎のミドルで先制し、一度は追い付かれながらも、昌子のゴールで2-1と突き放した。「同点になっても誰も下を向かなかった」(昌子)のは、トニーニョ・セレーゾ前監督の突然の解任が、選手たちの危機感を煽ったからだろう。
 
 確かに、鹿島の選手たちには闘志がみなぎっていた。
 
「みんながチームを良くしていこうという意欲がすごくあったので、その流れのまま試合でも出せた」(土居)
 
 カンフル剤は間違いなく、試合内容や結果に効果をもたらしたのである。
 
 ただ、気持ちだけで、状況が好転したわけでもない。トニーニョ・セレーゾ前監督の戦術に微調整を加えたことで、チームに変化が生まれたのも見逃せない点だ。
 
 新監督就任からFC東京戦までは、わずか3日しかなかった。その間、指揮官と選手たちは綿密に話し合い、課題を洗い直したという。特に強調されたのが、切り替えと球際の意識で、この点について遠藤は以下のように明かしてくれた。
 
「細かいところは変わりました。ボールを取られたら、プレッシャーを早くしようと話し合っていましたし、それが良い形で出た。誰かがボールホルダーに当たりに行けていたし、セカンドボールも拾えていた。みんながボールに絡んで良い試合ができた」
 
 つまりは、チーム全体の運動量を上げ、局面での競り合いを制して試合を優勢に進めようとしたのだ。こうしたアプローチの変化は、試合後の石井監督の言葉からも窺い知れる。
 
「(トニーニョ・)セレーゾ監督が積み重ねてきたものを継続しながら、細かい部分を修正しました。守備で言えば球際をさらに厳しくして、ボールを奪い切る。攻撃は相手が怖がるようなアタッキングサードへの侵入を多くすることを意識させました」

次ページ粘り強く勝利に結びつけたのは、前進と捉えて良い。

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