【甲府】堅守再建の立役者となった“109歳の3バック”

2015年07月24日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

「熟練の業」に寄せられる絶大な信頼感。

昨季はリーグ戦2試合の出場に止まった津田(右)だが、経験に裏打ちされたプレーで堅守を支える。(C) Getty Images

  前節の湘南戦(○2-0)で、甲府の堅守を支える3バックには5試合ぶりに「ベテラン3人衆」が先発に名を連ねた。
 
 土屋(40歳)、山本(35歳)、津田(34歳)。甲府側のメディア、サポーターからすると決して珍しい光景ではなかったが、"トータル109歳"という事実に周囲が驚きを覚えても不思議はなく、湘南のそれ(遠藤、A・バイア、三竿/77歳)と比べても年齢差は歴然だった。
 
 空中戦や1対1の対応、背後へのカバーリング……。90分間、気力と体力が求められるポジションに30歳半ばから40歳の選手を並べるのは、普通に考えるとリスクが高い。それでもあえて彼らを3バックの軸に据えているのは、ここぞの集中力や球際での闘志、スペースを的確にカバーするポジショニングの良さといった「熟練の業」に、佐久間監督が絶大な信頼を寄せているからだ。
 
 実際、この3人が先発出場した5試合(リーグ戦のみ)の失点数は、わずかに「1」(第1ステージ・15節の横浜戦[△1-1]で失点)。シーズン序盤は脆弱だった守備組織も、今季初めてこの3人が最終ラインを形成した5月16日の山形戦を境に、見違えるほど改善された。つまり、堅守再建を果たした背景には、彼らの存在があったと言えるのだ。
 
 守備の"堅さ"で応戦した前節の湘南戦でも、前半に左サイドのクロスから、後半序盤には藤田征に左サイドを突破され決定機を与えたが、「最後のところはやらせなかったので、失点するようなイメージはなかった」(津田)と言うように、要所を抑えて敵地での無失点勝利に貢献。「ボールを保持しながら隙を突いていこうとの狙いはあったが、最終ラインを崩せなかった」(永木)と敵に言わしめるなど、ベテランとはいえ、その実力は侮れない。
 
 常に怪我やコンディションへの不安は付きまとうが、たとえ1、2試合欠場しても、ピッチに立てばこれまでどおりのプレーで堅守を支える。そんな頼れる3人が、今後の戦いでも重要な存在になるのは間違いないだろう。
 
取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)
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