前回王者・山梨学院の猛攻に耐えた佐賀東、驚異的な“粘り強さ”で大会初のベスト8進出に意欲「自信を持ってやっている」【選手権】

2021年12月31日 熊介子(サッカーダイジェストWeb編集部)

「自分たちは挑戦者」

2点目を叩き込み、勝利を決定づけた溝口(右)。前半から巧みなポストプレーも目立った。 写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

[高校選手権2回戦]佐賀東 2-0 山梨学院/12月31日(金)/熊谷スポーツ文化公園陸上競技場

 実力は拮抗していた2校の対戦だが、プレーは佐賀東の躍動感が勝った。先制点が生まれた3分の場面では、相手にボールを奪われ、それを奪い返したMF森田悠斗のプレーが起点となり、MF中山琉稀がドリブルで自ら切り込んで、豪快なシュートを叩き込んだ。

 この1点で試合をリードした佐賀県代表は、時が経つにつれて山梨学院に攻め込まれる場面が増え、守備に追われる。しかし、選手たちは決して慌てることはなかった。そして山梨学院の絶え間ない攻勢に耐えに耐えた後半38分、"ワンチャンス"をモノにしたのだ。

 セットプレーのこぼれ球を前線に展開し、途中出場の1年生宮川昇太が左サイドを駆け上がる。ボックス付近まで持ち込むと右足アウトサイドで絶妙なクロスを中央に送り、これをFW溝口貴也が押し込んで、ゴールネットを揺らした。

【高校サッカー選手権2回戦PHOTO】山梨学院0-2佐賀東|佐賀東が前回王者を破る!山梨学院から2得点奪い3回戦へ進出
 試合後、オンラインの囲み取材に応じたスコアラーの中山は「相手が前回王者の山梨学院さんで、自分たちは挑戦者。その立場で無失点に抑えられて、2点も取れて勝利できたことは良かった」と振り返った。

 この試合で最も目を引いたのは、佐賀東の選手全員が連動して行なうボールを刈り取るようなプレッシング、そして攻守の切り替えの速さだ。攻撃面ではダイレクトパスで相手を崩し、押し込まれた場面からのカウンターでも素早く前線に繋げることができる。守備ではボール保持者に対して2人以上のプレッシャーをかける。たとえかわされてもカバーする選手が現われ、相手に自由を許さない。選手交代後もスムーズにマークの受け渡しを行ない、連携面でのミスでピンチを迎える場面はほとんど見られなかった。

 中山は「プロ選手のプレーだと(プレミアリーグの)マンチェスター・シティのプレーをお手本に見ていた」と語り、「ボールを奪われても、近い選手がすぐにプレッシャーに行く。練習から徹底されているので、それが試合でそのままできた」と明かした。インターハイで初戦敗退した後、蒲原晶昭監督が「夏から特にチームに植え付けてきた」という意識づけとトレーニングが全国の舞台で結実した一戦だったといえるだろう。

 3回戦に駒を進めた佐賀東は、同じ九州勢の大津と対戦する。同校の選手権での最高記録であるベスト16まで駒を進めた蒲原監督は「今日以上にきっと攻撃がスピーディーで、迫力があるプレーが出てくる。そういう相手に守備の確認などはきちんとしたい」と語りつつ、自信も覗かせた。

「今大会、うちも攻撃は自信を持ってやらせようと思っているし、選手たちも自信を持っていると思う。力を発揮して、ぜひベスト8以上に進出したい」

 佐賀東対大津の試合は年明け、1月2日に行なわれる。

取材・文●熊介子(サッカーダイジェストWeb編集部)
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