「急遽伝えられてビックリ」東福岡の2年生GKがスクランブル出場! 全国で緊急デビュー、完封勝利に貢献【選手権】

2021年12月30日 熊介子(サッカーダイジェストWeb編集部)

「すごく緊張した」全国デビューに

秋田商の鋭い攻め上がりにも落ち着いて対処する戸成。「課題も見つかった」と語る守護神は始終落ち着いたプレーで勝利に貢献。 写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

[高校選手権1回戦]東福岡 1-0 秋田商/12月29日(水)/熊谷スポーツ文化公園陸上競技場

 2年連続通算22回目の出場となった"赤い彗星"こと東福岡が、初戦で秋田県代表の秋田商を1-0で下し、1回戦を突破した。30分に奪った3年生FW楢崎海碧の1点を守り切った。

 その裏では、チームには激震が走っていた。主将であり守備の要であるDF段上直樹が、「コンディション不良のため」(森重潤也監督)ベンチ外に。さらに、試合前のウォーミングアップで、先発が予告されていたGK須田純弥がまさかの負傷。U-17日本代表候補にも名が上がり、大会前から注目されている存在が直前で出場できない事態に陥った。

 そんな緊急事態のなか、GKとして先発したのが2年生の戸成晃大だ。「急遽伝えられて、すごく緊張した」という戸成にとってはもちろん初の選手権出場。しかし、指揮官の「須田に劣らず、シュートストップであったり、反応であったり、いいものを持っている」という評価の通り、落ち着いたセービングでチームの勝利に貢献した。
 
 試合後、オンライン会見に応じた戸成は「無失点で抑えられたのは良かった。課題なども見つかって、良い試合になった」と振り返った。聞けば、選手権予選が行なわれている最中の秋ごろに右ひざを疲労骨折。左利き故に、キックを蹴る際に右ひざに負担がかかった結果の悔しい負傷だった。

 その後、2か月近くチームを離れていたという。チームに再合流できたのは本大会開催の1か月前だったようだ。だが、「仲間たちが予選を突破してくれると信じていた」と意欲を失わなかった。「リハビリ中に椅子に座って行なう正面キャッチで体幹を鍛え、筋トレで身体を衰えないように」努め、その結果、「体幹が強くなり、(身体の)軸がブレなくなり、キックの質が上がった」という。その陰の努力は大舞台でチームの力になった。

 想定外のトラブルに見舞われながらも勝ち上がった東福岡は、2回戦で同じ九州勢の熊本県代表・大津と対峙する。「自分たちの代はまだ一度も勝ったことがない」(FW楢崎)という、超攻撃的チームとの一戦では再び守備陣の奮起が必須。"赤い彗星"はチーム一丸となって戦い抜く。

取材・文●熊 介子(サッカーダイジェストWeb編集部)
 
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