[高校選手権１回戦]帝京大可児４-１今治東／12月29日（水）／等々力陸上競技場

　湘南ベルマーレへの来季加入が内定している鈴木淳之介（帝京大可児）の実力は、やはり伊達ではなかった。

　前半19分に右サイドで懐深いタックルからボールを刈り取ると、そのまま推進力あるドリブルで前進。パスを捌いて攻撃を組み立て、巧みな足技からスルーパスを送ったかと思えば、21分には強烈ミドルを放った。

　前半28分のプレーでは、相手のプレッシャーを受けながらも中央から左サイド深くまでボールを運び、クロスでチャンスメイク。さらに前半アディショナルタイム、相手のゴールキックをヘディングで返し、松永悠碁のゴールをアシストしてみせた。

　後半に入っても鈴木は際どい縦パスを打ち込んだり、鋭い読みからのパスカットを披露するなど、攻守で獅子奮迅の活躍。奪って、運べて、捌ける"スーパーボランチ"は、帝京大可児の心臓となっていた。
 

　興味深いのはその落ち着きぶりで、ドッシリと構える鈴木の佇まいが印象的だった。闇雲に動きすぎないのは危険なバイタルエリアのスペースを空けないためだろうし、チャンスと見れば、すかさず２列目から飛び出す。ピッチを俯瞰で把握できていて、ギアを上げるタイミングが良く、インテリジェンスも感じさせた。

　プレーと同様に、鈴木は取材対応でも冷静沈着に試合を振り返った。

「やっぱり初戦が大事なので、 みんなで入りから意識して良いサッカーができました。しっかり勝ち切れて良かったです」

　帝京大可児の仲井正剛監督も「うちが上手く行っていない時に、個でうちのペースに引き戻してくれた」と鈴木を称賛。一方で「何か月後かにはプロでやっていかないといけないので、あれぐらいやってくれないと」とも語った。

　次戦ではどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、"プロ内定選手としての"鈴木のプレーに期待したい。

取材・文●志水麗鑑（サッカーダイジェスト編集部）