“怪物”平山相太が現役時代に凄いと思った3人の選手。「どんだけ自分はニセモノなんだ」と痛感した本当の怪物とは?【2021総集編】

2021年12月23日 サッカーダイジェストWeb編集部

国見の先輩に感じた「なぜか、そこにいる」点取りの屋の感覚

現在は仙台大の学生として勉学に勤しむ傍らサッカー部のヘッドコーチも務める。(C) YOSHIMOTO KOGYO

 今年も残すところわずか。本稿では、2021年のサッカー界における名場面を『サッカーダイジェストWeb』のヒット記事で振り返る。今回は、国見高時代に"怪物"と騒がれ、一世を風靡した平山相太氏へのインタビューをプレイバック。国見高からプロに至るまで、自身が凄いと感じたプレーヤーとはいったい誰だったのか。独自の視点、切り口で語ってくれた。

記事初掲載:2021年10月21日

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 かつて高校サッカー界で「怪物」と騒がれたストライカーはいま、仙台大サッカー部でヘッドコーチを務める。「試合動画の編集もまだこの春に始めたばかり」という平山相太は、現役の大学生という肩書も持ちながら、「将来的にはプロサッカークラブで監督をしたい」という目標に向かって邁進する。

 そんな平山が育てたいFW像は「なぜか、そこにいる」という得点の匂いを嗅ぎ分けられる選手だそうだ。本人が持つ才能だけに頼らず、しっかりと良いポジションを取って、自身の特徴を発揮してゴールを奪えるストライカーだ。

 では、平山が本当に凄いと思うFWとはいったいどんな選手たちなのか。本人に直接聞いてみた。

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 一番はブラジルのロナウドですね。小学校、中学校といつもロナウドの真似をして練習したりとか。ずっと憧れていたんですが、高校に入ったくらいに自分には無理かなと気づいた(笑)。彼は誰も持っていないものを持っていますよね。プレーを見ても、その凄さは今でも感じますよ。

 ロナウドにはフェノメーノ(怪物)という異名があって、自分も高校生当時によく「怪物」という見出しと一緒に名前が出ていましたが、どんだけ自分はニセモノなんだって思っていました(笑)。『あれこそが本当の怪物なんだな』って、ずっと思ってましたよ。

 日本人で挙げるとすると、国見の先輩でもある大久保嘉人さんですね。高校ではかぶってないのですが、アテネ・オリンピックで一緒にプレーして、プロでも対戦しましたね。ゴールに向かう姿勢や貪欲さも凄いし、やはり『なぜか、そこにいる』という感じのFWで、点を取ることにかけては一目置くような存在でした。

 やはり、自分が育てていきたいFW像に当てはまる選手だし、身体能力とかも凄いんですが、それだけではあそこまでのゴール数(※J1最多得点となる通算190ゴール)には届かないと思うので、ポジショニングだったりタイミングの合わせ方だったり。そういう面では一番凄いと思いますね。

 もうひとり挙げるとすれば、高原直泰さん(現沖縄SV)ですね。何度か対戦もしたことがあるんですが、オーバーエイジで参加したアテネ・オリンピックの時が印象的で、フィジカルが凄いし、普通のトレーニングでも周りの選手との動きが全然違いましたね。その時、たぶんドイツでやっていた頃だと思うんですが、なんか全体のレベルの5個上くらいの感じでした。もう全然違いすぎて異次元でしたね。

 他のFWとの違いは何かと言われたら、ダッシュというかアジリティというか、前後左右の動きの切り返しが速くて、バランスも良いから重心がぶれない。ボールを持ってからの動きもそうなんですが、どの方向へ切り返しても速いし、ぶれないんです。逆に、ぶれていないから速く動けるとも言えるんでしょうね。それが衝撃で、今でも覚えています。

 高原さんみたいな選手も育ててみたいけど、無理かな……(笑)。ただ、高原さんも動き出しの速さは見習うべきところがありましたし、やっぱり点を取れる場所っていうのを知っていて、そこはジュビロ時代から中山ゴンさんらと一緒にやって鍛えられた部分はあると思いますし、FWが見習うべきところはたくさんありますね。
 

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