まだ0歳の長女のためにも…山口退団の26歳MF澤井直人がトライアウトに懸けた想い。「少しでも自分のプレーを見てもらいたい」

2021年12月11日 海江田哲朗

トライアウトではプレースキッカーも務めた

トライアウトでは左右のサイドハーフでプレーした澤井。写真:海江田哲朗

 日本プロサッカー選手会(JPFA)は12月9日と10日、「2021 JPFAトライアウト」をフクダ電子アリーナで開催した。

 今季で契約満了となった選手たちが各クラブの監督や強化担当にアピールする場で、今年は計91人が参加している。

 1日目、午後の部でプレーした澤井直人(山口)もそのひとりだ。11対11の試合形式では、1本目が右サイドハーフ、2本目は左サイドハーフでプレー。即席チームのため連携面の難しさはありながらも、ボールをぐいぐい前に運ぶ推進力の高さを見せ、プレースキッカーも務めた。

「今日のトライアウトで、自分の持っている力は出せたと思います。プレースキックは今年レノファで蹴ってましたし、流れで自分が担当する形になりました」

 開始数分で味方のゴールキーパーである相澤ピーターコアミ(千葉)が接触プレーで倒れ、救急車で搬送されるアクシデントがあった(10日、中心性脊髄損傷と診断され、入院中と千葉が発表)。

「驚きましたが、試合でも起こり得ることですから再開に備えて準備をしていました。彼のケガが軽くあってほしいと祈ります」
 
 澤井もまた、過去に重度の故障を経験している。2017年、開幕前のキャンプで右足アキレス腱を断裂。そのシーズンをリハビリに費やし、以降も影響は尾を引いた。

「あの故障以来、ケガをすることが多かったんですけれど、今年は初めて何事もなくシーズンを終えることができた。そのことは自信になっています。現在、新しいチームを探して(代理人に)動いてもらいながらトライアウトへの参加を決めたのは、少しでも自分のプレーを見てもらいたかったから。シーズン終盤の10数試合はほとんど試合に絡めなかったので、やれるぞというところを示しておきたかった」

 今季、澤井は23試合、1得点。プレーできるコンディションを維持しながら、残留争いを戦うチームの力になれなかった無念は強く残っているはずだ。

 これからピークを迎えるだろう26歳。春には第一子となる長女が誕生したばかりである。選手として、そして父として、ここで立ち止まるわけにはいかない。

 もっとも、ちょっとやそっとの躓きではへこたれない精神力の持ち主だ。今回のトライアウトも糧とし、再びピッチで躍動してくれるのを期待している。

取材・文●海江田哲朗(フリーライター)

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