止められない流れ。次は「頭で直接決めたい」。相模原の最古参・梅井大輝のJ2残留にかける想い

2021年12月03日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「最終節まで粘れている。最後は勝つだけ」

直近2戦では決定的な仕事に絡んでいる梅井。最終節の東京V戦では「頭で直接決めたい」と気合いを入れる。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 前々節の愛媛FC戦(〇2-1)では、自慢のロングスローから相手のオウンゴールを誘った。前節の松本山雅FC戦(△1-1)では、194センチの高さを活かし、セットプレーから打点の高いヘッドで味方の得点をアシストした。

 いずれの試合も途中出場で、限られたプレータイムの中で決定的な仕事に絡み、チームの勝点奪取に貢献。残留争いの渦中にあるSC相模原で、32歳のDF梅井大輝が際立つ存在感を放っている。

 コンディションが整わず、しばらく戦列を離れていた。「正直、間に合うかどうか、かなりギリギリだったんですけど、なんとか間に合わせることができました」。それでも、まだ90分間、プレーできる状態ではないが、「自分の武器ははっきりしているので、自分の良さを出せればチームに貢献できると、自分自身でも信じていました」。

 気持ちを切らさず、復帰に向けて準備してきた。「チャンスが来たときには強みを存分に発揮して、チームに貢献したいと思って、ずっと復帰に向けて頑張ってきた」と振り返る。

 チーム最古参の在籍5年目。「今までいた選手やスタッフの力があって、こうして今、J2で戦えていると思う。そういう人たちの想いも背負って、その人たちの分まで、しっかり戦っていきたい」と表情を引き締める。

 チームはクラブハウスを持たず、トレーニングは複数の施設で行なわれている。もっとも、「ずっといる身からすれば、年々少しずつ(環境面は)良くなっています」と実感。「そういうクラブの方たちの努力も感じていますし、僕たち選手たちが結果を残すことで、環境もより良くできるはず」という使命感もある。

 是が非でも残留を掴み取りたい。最終節の東京ヴェルディ戦を見据え、「切羽詰まった状況では、たぶん、出番は来ると思うので、そこで与えられたミッションを完璧に遂行したい」と意気込む。その一方で、「自分の出番が来ない状況のほうが、チームとしてはいいと思う」との考えもある。

 出番がないにせよ、途中出場でも、サッカー選手として、先発フル出場へのこだわりはある。若い頃は「なんで90分、使ってくれないんだ」と不満を抱えたこともあった。

「でも結局、そういうところに労力をかけても、良い結果が生まれてこなかった。与えられたもののなかで、どう自分が活きるかを考えてやっていくほうが、また90分、出られることにつながるかもしれないですし」

 メンバー入りできれば、「スタート、ベンチにかかわらず、必要としてくれているのは変わりないと思う」。そこで全力を注ぐだけだ。

「出番が来た時、自分が試合を決めるんだという気持ちで、試合中もアップしています。練習中も、チームが苦しい状況になれば出番が来ると、そう自分に言い聞かせながら取り組む。いろいろと葛藤はありますけど、今、何をしなければいけないかに集中するようにしています」
 
 過去2戦、先述したとおり、梅井はロングスローから得点を生み出し、ヘッドで1アシストをマーク。では、今季ラストマッチの東京V戦ではどんな活躍を見せたいか。

「頭で直接決めたいですね。ズドンと差し込みたい。得点もだんだん近づいていると思う。この流れは、作ろうと思っても、なかなか作れない時もある。でも、そういう流れは来ているし、止められない流れっていうのもあると思うんです。去年のラスト19戦無敗とかもそうだった。そういう流れも大事にしたい」

 クラブ史上初のJ2昇格を決めた昨年の最終節でも、梅井はピッチに立ち、歓喜の瞬間を味わった。今度は、J2残留のために――。

「最初は、圧倒的に降格候補だったのが、最終節まで粘れている。最後は勝つだけ。条件ははっきりしているので、勝点3をみんなで取りに行きたい」

 流れを掴んでいる梅井は「今、やれるべきことに目を向けて」決戦に備える。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

【PHOTO】相模原×松本|選手たちを力づけた両チームのサポーター
 
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