「もう一回新たなクラブ作りに…」J2降格で手倉森監督退任の仙台、新体制初陣に見えたポジティブな要素

2021年11月27日 小林健志

「J1にいるクラブとして高みを目指すことを緩めないという姿勢が欠けていました」と手倉森監督

今季仙台の指揮を執った手倉森監督。23日に退任が発表され、原崎監督の就任が発表された。写真:田中研治

 仙台は11月20日に行なわれたJ1リーグ36節・湘南戦で0-2と敗れ、J2降格が決まった。2010年から12シーズンにわたり属したJ1の座を守ることができなかった。昨年12月末、かつてチームをJ1昇格させ、12年にはJ1優勝争いへと導いた手倉森誠氏を監督に招聘したシーズンだったが、5月頃に堅守速攻のスタイルが機能し始め、立て直しの兆しは見せたものの、獲得した外国籍選手の負傷などによる離脱や、決定力・得点力不足により、J2降格圏からなかなか抜け出せなかった。

J1リーグ順位表
 後半戦はJ1残留争いのライバルとの直接対決でチームの完成度の差を露呈し、勝利から見放され、最後の望みをかけた湘南戦も内容的に歴然とした差のある完敗。クラブは23日、手倉森氏の監督退任(育成・強化のサポート役としてクラブには残留)とヘッドコーチを務めていた原崎政人氏の監督就任を発表した。

 手倉森前監督は湘南戦が終了し、J2降格が決まった後に会見に臨み「仙台は12年間一度もJ2に落ちませんでしたが、J1にいるクラブとして高みを目指すことを緩めないという姿勢が欠けていました。昨年不祥事もあり、今年挽回しようと思いましたが、一気に変えられない深い傷に気づかされました。もう1回新たなクラブ作りに着手しなければならない結果と捉えています」と昨季の成績不振、債務超過への転落、選手の不祥事といった負の連鎖を断ち切り、チームの成績を上向かせられなかったことを悔やんでいた。

 そして湘南戦後、急遽メディア対応した仙台の佐々木知廣代表取締役社長は「あの時期に監督就任してくれて感謝しかありません。泣き言を言わず1年頑張ってくれたことはまず、感謝しなければいけません」と手倉森前監督への感謝を述べた上で「テクニカルなところは強化部の判断を聞いて整理したいです。やれることが他に無かったかは総括したい」と語り、結果的にはクラブと手倉森前監督が協議し双方合意の上、監督退任が決まった。

 J1リーグ残り2試合の指揮を執ることになった原崎政人監督は、Jリーグのトップチームで正式に監督を務めた経験は無いが、15年に渡邉晋監督の退場に伴い、1試合だけ監督代行として指揮を執った経験を持つ。まずは残された2試合に向けて、「自分たちがアクションを起こしたいです。攻撃も守備も主導権を握ることにトライしたい」と語った。

 17年に仙台ユースの監督を務めた際は、渡邉晋監督がトップチームで展開したポジショナルプレーの要素を採り入れたり、ボールポゼッションの部分で細かい落とし込みをしたりというチームづくりを行なっていたが、「あくまで対福岡というところで立ち位置も考えながらやっていきたい」と、まず自分の色を積極的に出す、と言うよりは直近の福岡を相手に何が効果的なのかを考えようとしていた。
 

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