【徳島】2年前の雪辱果たす! 湘南との大一番、CKからの決勝弾はいかに生まれたか? 岩尾憲が語る当日の修正点

2021年11月27日 サッカーダイジェストWeb編集部

最終節での逆転残留に望みをつなぐ

湘南でプロキャリアをスタートさせた岩尾にとって、様々な思いが入り混じる一戦だった。写真:滝川敏之

 徳島ヴォルティスが2年前に奪えなかった白星を因縁の地でつかみ取った。

 残り2節となったJ1リーグは11月27日、第37節の10試合を各地で開催。徳島は、敵地で湘南ベルマーレと相まみえた。

 両チームの対戦で想起されるのは、2019年のJ1参入プレーオフだ。前任者のリカルド・ロドリゲス監督(現・浦和レッズ)の下、J2を4位で終えた徳島は、プレーオフを勝ち上がり決定戦に進出。J1で16位だった湘南と敵地で対峙した。

 試合は鈴木徳真のゴールで先制するものの、松田天馬(現・京都サンガF.C.)に同点弾を許し1-1の引き分け。ドローの場合は昇降格が行なわれず、両チームがそれぞれのカテゴリーに残留するというレギュレーションによって徳島のJ1昇格は叶わなかった。

 翌年にJ2を制覇し、今季のJ1を戦う徳島は、リーグ終盤で湘南のホームに乗り込んだ。

 徳島は勝点33で17位。降格圏内に位置する。一方の湘南は、同36で15位。残留圏内で踏みとどまっている。徳島が逆転でJ1残留を決めるためには勝点3が必須な状況だった。

 試合は1点の重みを理解する両チームが慎重な立ち上がりを見せる。低い位置でボールを回す徳島に対して、湘南もブロックを築き前線もあまり深追いしないという展開で前半が終了した。  

 後半も一進一退の攻防が続くなか、65分に均衡が破れる。先制したのは徳島。自陣から展開されたボールを西谷和希が宮代大聖との大きなワンツーで左サイドを突破し、リターンを受けた宮代がCKを獲得。キッカーの岩尾憲は、ボールをセットしてからあまり間を置かず、ファーサイドへストレートボールを供給すると、走り込んだ宮代がダイレクトでシュートを放つ。GK谷晃生が弾いたボールをゴール前の混戦から岸本武流が押し込んだ。
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 試合後に岩尾は、セットプレーが成功した点をこう振り返った。

「この試合だけでなく、うちのアナリストが非常に優秀で、相手の穴というか、ウィークの部分を研究して、セットプレーの練習で提示してくれている。僕らがそれを体現できるかどうかが非常に重要で、今日に関してはそれが上手くいった」

 また、事前の練習から当日に変更を加えた点が奏功したという。

「前日練習では、もう少ししっかりとセットしていましたが、時間をかけると、相手が非常にセットプレーに対してアラートで、タフなので、やろうとしていることがバレてしまう」と、当日に前迫雅人コーチの助言があった。そのため、当日は相手の隙を突けるように、少し早いタイミングで蹴るように意識したという。

 リードを奪ってからは身体を張った守備と、フレッシュな選手を次々と送り出す交代策で、2年前に許してしまった同点弾を与えず、1-0で逃げ切りに成功した。

 過去と現在、ともに中心選手としてピッチに立っていたキャプテンは、当時からの差をこう表現した。

「大前提として、当時いる選手と今いる選手は違う。比べることには、いない選手たちにも敬意を払いたい。

 ただ、個人的には思い残すこともあった。ピッチでの借りはピッチでしか返せないので、そういった意味では、非常に良いゲームができた。自分のパフォーマンスを含めて、しっかりとプレーすることができた点には、自分の成長も感じました」

 貴重な3ポイントを手にした徳島は湘南と勝点36で並び、最終節での逆転残留に望みをつないだ。得失点差は14ゴール離されている厳しい状況に変わりはないものの、「継続していくだけ。しっかりと勝点3をホームでとって、後は天命を待つ」と最終節のサンフレッチェ広島戦へ気持ちを切り替えた。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

【J1第37節PHOTO】湘南0-1徳島|徳島が湘南に1-0の勝利!残留争いの行方は最終節へ
 

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