【JYD × ニチバン】 次世代アスレティックトレーナー育成プロジェクト「サッカーメディカルキャンプ」レポート Vol.2

2021年11月18日 西森彰

充実の講師陣が直接講義

試合後のリカバリー方法等、菊島ATが具体例を挙げながら説明してくれました。写真:SOCCER DIGEST

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JYD(JFA Youth & Development Programme)のオフィシャルパートナー、ニチバン株式会社と日本サッカー協会がタッグを組んで、次世代のアスレティックトレーナー育成に挑む「第2回SOCCER MEDICAL CAMP」をレポートします。引き続きオンライン講義が実施される中、7日目には新しい試みとして受講者によるグループ発表も行なわれました。
 

 東京五輪男子代表チームに帯同した、菊島良介氏の東京五輪報告は、画面越しから受講者たちの関心の高さが伝わってきました。

 五輪チームのメディカルスタッフは、中2日で6試合という中での「リカバリー」、メンバーの入れ替えができない短期決戦における「傷害予防」、そして暑さに不慣れな海外組を中心にした「暑熱対策」を3本の柱に据えたといいます。そのために実際にどのような方法、対策が行なわれたのか、現場にいた菊島氏が、具体例を交えながら説明をしてくれました。

 ベスト4進出国のすべてで、決勝トーナメントに3試合連続出場した選手が7名以上いて、優勝したブラジルにいたっては10名。次のパリ五輪へ向けて、限られた選手、スタッフ数での準備、そしてタフな選手輩出へのカギになるセルフコンディショニングのサポートが、メディカル分野でのカギになりそうです。

 五輪報告の後は、「アスレティックトレーナーの職場環境を整えるにはどうしたら良いか」をテーマに、受講生が4チームに分かれてグループ発表。15分の制限時間内で、紐解いた文献や、自身で拾った先輩の声を使いながら、プレゼンしました。

 熱の込められた発表に、聞き手となった日本代表アスレティックトレーナーの前田弘氏も「いろいろな意見を聞くことができた。これもメディカルキャンプの目的のひとつ」と評価していました。

 サッカーメディカルキャンプは、この日でオンライン講義が終了。最終日の講義へと進みます。

■5日目(10月13日)
競技復帰までのリハビリと内科的疾患

講師 檜山里美
(JFAメディカルセンター)

講師 島田和典
(千川通りあさのクリニック・順天堂大学/日本サッカー協会医学委員会)

前半は、檜山里美先生が担当。受傷前以上のコンディションに戻すというリハビリの原則を踏まえながら、復帰までの段階に応じた、受傷箇所に負担をかけないトレーニングの方法が披露されました。後半は、内科的疾患について島田和典先生が講義しました。各種の内科的疾患が解説され、予防法としてのメディカルチェックの重要性が語られました。

■6日目(10月20日)
サッカー選手の栄養と成長期の障害

講師 石井美子
(国立スポーツ科学センター/日本サッカー協会医学委員会 栄養サポート部会)

講師 加藤晴康
(立教大学/日本サッカー協会医学委員会)

1コマ目は石井美子先生によるサッカー選手の栄養についての講義。栄養の軸となる食事が選手の身体づくり、体調管理、障害予防につながるため、エネルギー収支バランスの考え方などを伝えました。加藤晴康先生は、育成年代の外傷・障害について、受講生たちへの質問を準備し、オンラインで回答を募集しながら、双方向性の授業を展開しました。

■7日目(10月27日)
アンチ・ドーピングと東京五輪報告

講師 上東悦子
(国立スポーツ科学センター/日本サッカー協会医学委員会 アンチ・ドーピング部会)

講師 菊島良介
(日本サッカー協会)

上東悦子先生によるアンチ・ドーピングの講義が行なわれました。ドーピングが人体に与える直接的な悪影響の他、競技、大会への影響について。そして検査の実施方法と禁止薬物が掲載されている媒体の紹介も行なわれました。後半は東京オリンピック男子代表チームに帯同した、菊島良介氏によるアスレティックトレーナーの立場からの五輪報告が行なわれました。
 
5日目の講師 檜山里美ATと島田和典先生

6日目の講師 石井美子先生と加藤晴康先生

7日目の講師 上東悦子先生と菊島良介AT

取材・文 西森彰(フリーライター)  写真提供:日本サッカー協会

(『サッカ―ダイジェスト』11月25日号より転載)
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