金田喜稔がベトナム戦を斬る!「なぜ古橋や三笘を積極起用しない? チーム力の最大値が引き出されていない印象」

2021年11月12日 サッカーダイジェストWeb編集部

ゲーム内容は物足りないものだった

ベトナム戦は途中出場だった古橋。セルティックでは好調なだけに、先発で見てみたかった。(C)JFA

 今回の11月シリーズでは、いずれもアウェーでまずは11日にベトナムと戦い、16日にオマーンと対戦する。そのオマーンには予選初戦で敗れている。借りを返すべく、そこに向けて弾みをつける意味でも、ベトナム戦は勝ちたかった。

 結果は1-0。欲を言えば、2点、3点、4点と取って、主力メンバーを少しでも休ませられれば良かった。欧州組の何人かは現地入りの際にトラブルがあり、チームへの合流が遅れた。少なからずコンディション面で不安が残るなかで先発した選手もいる。

 オマーン戦を見据えれば、ベトナム戦はもっと余裕を持って終わらせたかったが、一方では、日本はグループ4位という状況で、とにかく勝点3が求められるゲームでもあった。ベトナムは最下位に沈むが、近年は力をつけてきているし、決して楽な相手ではない。ましてや敵地での試合だ。それでも日本はミッションをクリアした。1点を守り切った守備陣の奮闘に加え、攻撃陣も精力的にディフェンスをこなしていた点は評価したい。

 17分の決勝点は、大迫のポストプレーを起点に、左サイドを抜け出した南野からのクロスを、逆サイドで伊東が押し込む形だった。

 ここぞというポイントに走り込んだ伊東のスピードは素晴らしかったし、特筆すべきは南野の高いスキルだ。ピッチはあまり良い状態ではなく、ドリブルしながらボールは小さくバウンドしていたにもかかわらず、伊東へ正確なラストパスを送る。どんなボールでもきれいにインパクトできる技術力を改めて証明してみせた。
 
 伊東のゴールが決勝点となり、日本は欲しかった勝利を手にする。何も文句はない。そのうえで、あえて言うなら、ゲーム内容は物足りないものだった。

 その理由は人選なのか、戦略なのか、フォーメーションなのか。そこは判断が難しいところだし、現場の人間にしか分からない部分もあると思う。でも、一サッカーファンとしての立場から見て、ワクワクするようなゲームだったかと考えれば、疑問符がつく。

 攻撃面で言えば、攻めの形が今ひとつだった。たとえば、サイドを深くえぐれば、相手の最終ラインが下がり、中盤の戻りが遅れることで、マイナス気味のクロスが効果的だった。そこをもっと狙い続けても良かったと思うが、徹底されてはいなかった。
 

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