【セルジオ越後】もはやベトナムに「勝点3取れて良かった」って時代? 5連敗の相手に1-0で満足か

2021年11月12日 サッカーダイジェストWeb編集部

吉田の試合後のコメントにはがっかり

チャンスを迎えるもゴールを奪い切れなかった大迫。日本は追加点が遠かった。写真:JFA提供

 ワールドカップ・アジア最終予選のベトナム戦は、伊東純也のゴールでなんとか1-0で勝利を収めたけど、内容は良くなかったね。

 前半こそ縦パスから抜け出していく場面がいくつか見られたけど、1点を取ってから段々と攻撃がトーンダウンしてしまった。際どい所を狙ったパスが減っていって、パスも後ろ後ろへ行くようになってしまった。
 
 ベトナムはあれだけ伊東を嫌がっていたけど、90分を通じて彼を生かしきれたのかは疑問だし、何より選手交代をしても膠着した流れが変わったようには見えなかった。そもそも復帰したばかりの大迫や、トラブルでヨーロッパからの到着が遅れた選手たちもいつも通り使って、これまでの4試合と同様に得点が取れない時間が続いた。

 最終的にキャプテンの吉田の口から聞こえてきた言葉と言えば、「勝点3を取れてよかった。ベトナムはコンディションが良くて決して弱いチームじゃなかった」というもので、ちょっとがっかりしてしまったよ。いつから日本は、ベトナムを相手に「勝点3取れて良かった」という時代になってしまったんだ。この試合で求められていたものは何? グループ最下位の相手に1点で満足だったの? もちろん、吉田も「追加点は取れなくて残念だった」とは言っていたけど、最終的にはもう1点取りに行くより、コーナーでキープすることを選んだ。ベトナムは技術があってコンディションが良かったから、勝点3だけで良かったのだとしたら、日本もアジアでは大したことないチームになったね。相手は5連敗のチームだよ。

 結局、コンディションをどうこう言うのなら、日本で一番得点を取っている前田やトラブルなくベトナム入りした三笘など、より準備に時間をかけられた選手を使えばよかったし、ここまでの最大の問題は得点力の低さなのに、前線で起用している選手の顔ぶれも変わらない。稼げるところで稼がなくて、いつ得失点差を稼ぐんだ? 守備の堅いオマーンや、上位のサウジアラビア、オーストラリアから大量点を取れるのか? いよいよグループリーグが拮抗してきたなかで最後は得失点差の勝負になるかもしれない。そうなったら、やっぱり「あの時、格下相手に1点しか獲れなかったのはあり得ない」となるんじゃないのかな。
 

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