【どこよりも早い! ライターが選ぶJ1ベスト11】今年最大の発見は文句なしに後半戦の川崎を支えたボランチ!

2021年11月08日 加部 究

今年のイニエスタは守備面でも随所に凄みを見せつけた

加部究氏が選んだ今季のJ1ベストイレブン。

 今季のJ1リーグは、4試合を残して川崎フロンターレの優勝が決まった。王者の強さが際立つなかで、今季のJ1を沸かせた11人とは誰なのか。国内サッカーに精通する有識者に今季のベストイレブンを選んでもらった。
文=加部究(スポーツライター)

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 シーズン前半を終えて、三笘薫、田中碧、古橋享梧らが欧州へ移籍し、後半からは酒井宏樹、長友佑都らがJ復帰を果たした。彼らは十分にベスト11を競うパフォーマンスを見せたが、基本的にはシーズンを通してJ1でプレーした選手を優先した。

 まず最前線では、得点王を争っている前田大然とレアンドロ・ダミアンを選出。横浜でも左サイドでプレーしている前田を便宜上左に配した。圧倒的なスプリント回数で攻守に多大な貢献をして、後半戦の横浜の追い上げに弾みをつけた。とりわけトップリーグで自分で奪って決め切って来るという個で完結の離れ業を繰り返して来たことは特筆に値する。鮮やかなミドルループなど新境地も見せた一方で、数字に表れない身体を張ったチームプレーも光った。またダミアンも完全に不可欠の存在として出場し続けた。最前線でプレッシングのスイッチを入れ、センターバック間からGKまで追い回し、その上で攻撃の起点となった。さらにいくつかのゴールはゼロから生み出している。2人は攻守両面の質量ともに突出していた。

 また今シーズンはイニエスタがコンスタントにプレーし続けたので必然的にトップ下に据えた。イニエスタの場合は、出場し続けてさえいれば誰も質に疑問を挟む者はいない。どんなに難しい状況でもボールを失わず、今年は守備面での凄味も随所に見せつけた。

 一方サイドアタッカーは、マテウスと家長昭博が甲乙つけ難かった。三笘が去ったこともあり、家長のゲームをコントロールする能力は川崎に不可欠となった。今年も自在にポジションを移しながらボールを引き出し、類を見ない安定感でチームを落ち着かせた。それに対しマテウスは、今までも見せて来た爆発力に加え、今年は戦術的に守備面での献身も見せるようになり、計算の出来るエース格に成長を遂げた。もちろん家長の年齢を考えれば、充実を維持しているだけで十分賞賛に値するが、僅差でグレードアップしたマテウスを選んだ。ただしこのポジションを攻撃的MFという枠で括れば、川崎の連覇を牽引した旗手怜央と脇坂泰斗も顔を出して来てもおかしくない活躍を見せた。
 

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