豪州に惨敗の中国が侮れない理由。不気味な帰化組の存在は?【W杯最終予選】

カテゴリ:日本代表

河治良幸

2021年09月06日

日本戦も低調なパフォーマンスになると見るのはやや早計だろう

試合が開催されるカタールで8月下旬から調整を進めている中国。コンディション面では日本より優位に立ちそうだ。(C)Getty Images

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 アジア最終予選の初戦でオマーンに0-1で敗れた日本に負けず劣らず、中国の初戦となるオーストラリア戦がまずい試合だったことは否定できない。中国は攻撃面では相手のプレッシャーに対して思うようにボールを動かせず、ビルドアップの時点で不用意なミスを連発した。そこから即時奪回することもできず、かと言ってコンパクトなブロックを引くこともなく、オーストラリアの幅広いボール回しに引っ張られて、縦に間延びする時間が長くなった。

 23分の失点シーンは4バックのオーストラリアが後ろ3枚で回したところに、4-1-4-1の中国は1トップのエウケソンに加えて、インサイドハーフの10番チャン・シージャーが前に出てプレッシャーをかけに行った。そこにFWのアダム・タガートが中盤の底まで下がって後ろから縦パスを引き出したところに、もう一人のインサイドハーフであるジン・ジンダオが食い付き、アンカーのウー・シーと縦に距離が生じる。

 その後ろに構える最終ラインが乱れると、タガートから戻しのボールを受けたセンターバックのハリー・サウターが、センターバックのギャップを突くアワー・メイビルにロングパス。1対1のシュートはGKイェン・ジュンリンが弾くも、前に戻っていたタガートがこぼれ球を拾い、浮き球のクロス。これをメイビルが押し込んだ。これでより攻撃的に行かざるを得なくなった中国だが、守備面の不安定さをさらに露呈させる形で失点を重ねることになった。結果は0-3だった。

 そのパフォーマンスだけを見たら、国内で1週間、さらに試合が行なわれたカタールに入ってからの1週間で何を準備してきたのかということになる。オーストラリアは2日しか練習ができなかったのだから、なおさらだ。しかし、そのまま日本戦も低調なパフォーマンスになると見るのはやや早計だろう。1つは中国が同じカタール、しかもハリファ国際スタジアムで引き続き戦えること、もう1つは日本とオーストラリアのスタイルの違いだ。
 
 オーストラリアはグラハム・アーノルド監督がいわゆるポジショナルプレーをベースに、幅を意識しながら立ち位置を変えてくる。まさに先制点のシーンは3トップ中央のタガートが中盤に引き、代わりにウイングのメイビルが中央に移動、左サイドバックのアジズ・ベヒッチがウイングの位置まで上がっていた。こうした変形をいくつも持っており、中国は4-1-4-1を流れの中で動かさざるを得ずに、結果としてスペースを与えてしまっていたのだ。

 森保ジャパンも立ち上げ時より全体の立ち位置を意識したスタンスを取って入るものの、オーストラリアほど流動的なメカニズムがはっきりしている訳ではなく、基本は近い距離間でのコンビネーションとシンプルな突破の組み合わせで攻撃が成り立っている。おそらく中国側はオーストラリア戦ほど混乱することなく、日本の攻撃に対してマッチアップを作っていけるはずだ。

 そこを日本はスピードやアイデアで上回って行く必要がある。100%の状態でぶつかり合えば、総合的に日本が優位に立てるはずだが、全く移動なしで調整できる中国と、日本からの長い移動、さらに検査による待機を強いられている日本では、どちらにコンディションの利があるかは明白だ。日本もオマーン戦より良くなることは間違いないが、相対的に中国にアドバンテージがあるのは間違いないだろう。

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