フランス戦はチームとしては最高の出来やったね。一人ひとりが自分の持てるモノをしっかりと出し切って、相手を圧倒した試合だった。個の能力では、相手の方が上回っている部分もあったかもしれないが、各々が役割を果たしてチームとして良い機能性を見せてくれた。

　フランスは２点差以上で勝たないことには活路が開けないから、ある程度前掛かりになってくる。その裏を上手く突いていきたかったが、まさに狙い通りの展開になった。そんななかで、やはり良い仕事ぶりを見せつけたのが久保建英だった。先制ゴールは秀逸。自らボールを引き出して上田綺世のシュートにつながるスルーパスを出し、そのシュートのこぼれ球に詰めてゴールを奪い切った。これで３戦連続ゴールになったけど、本当にいまの日本のアタッカーで最もコンスタントに仕事をしてくれる選手だ。

　そして２点目も上田のシュートから、「なんであんなとこにおるんや！」とツッコみたくなるようなポジションをとっていた酒井が押し込んだ。日本の選手たちは、「自分たちがやらないといかん」という自覚をしっかりと持ってプレーしているよ。

　とりわけ、攻撃で前向きになった時の日本の選手たちがボールを持つ力は非常に安定していて、周りがよく見えていた。それが自信のある堂々としたプレーぶりにつながっていた。
 

　ただ、そんななかでひとつ気になっているのが、私が大会前から期待する選手のひとりに挙げていた上田にゴールが生まれていないこと。フランス戦も最初の２つのゴールは、上田が決め切れずに、シュートのこぼれ球を押し込んだもの。チャンスがないわけではなかった。

　もちろん、ケガから復帰したばかりでコンディション的にまだ上がり切っていない面もあるかもしれないが、十分相手の脅威にはなっていたと思うし、あとはキッカケさえ掴めば得点を重ねる雰囲気は持っているよ。ただ、ボールを受ける時に少し正直に相手の圧力を受けて潰される場面がある。基礎的なところだけど、相手の勢いを半身で上手くいなすことができれば、もっとプレーに余裕が出てくるんじゃないかな。同じストライカーとして彼の覚醒には期待しているよ。

　次の準々決勝は、中２日でまたすぐにやってくる。フランス戦のパフォーマンスはニュージーランドにも分析されるだろうから、またこの結果を再検討して抜かりなく試合に臨んでほしいね。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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