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【五輪サッカー】「世論がプレッシャーになる可能性も」。原博実が語る自国開催のメリットとデメリット

カテゴリ:国際大会

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2021年07月12日

1年延期がもたらしたメリットは大きい

6月12日の親善試合を戦った日本は遠藤(6番)らの活躍でジャマイカに快勝。メダル獲得への期待が膨らむが……。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 東京五輪の男子サッカー競技に臨むメンバー22人が発表された。果たして、原副理事長はオーバーエイジの意義をどう捉え、自国開催のメリットとデメリットをどう考えているのか。ロンドン五輪時にJFA(日本サッカー協会)の技術委員長として選手選考に関わった経験も踏まえての見解は、実に興味深いものだった。

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 東京五輪に臨む22人のメンバー構成は、スペシャリストよりもゼネラリスト(広い範囲の知識や能力を持つ人の意)を優先した印象です。仮に準決勝まで勝ち進めばほぼ中2日で6試合をこなすハードスケジュールですから、順当と言えば順当な顔ぶれですよね。三笘薫選手、上田綺世選手、相馬勇紀選手らは先発でも途中出場でも問題なくできるので、その点でも非常にバランスが取れたチームです。

 「22人」は狭き門で、育成面を踏まえれば五輪でオーバーエイジ(以下OA)を使うかは迷うところ。私も日本サッカー協会の技術委員長としてロンドン五輪(2012年)のメンバー選考に絡んだ際、目先の勝利と選手の将来をどう考えるかは重要なポイントになりましたが、正直、正解はありません。

 OAを使う場合は、その五輪世代に近い年齢の選手をピックアップすべきというのが持論です。(89年1月1日以降に生まれた選手が出場できる)ロンドン五輪・サッカー競技で当時23歳の吉田麻也選手(88年8月24日生まれ)をOAで選んだのは、彼に野心があったから。オランダのVVVフェンロからステップアップしたいという想いがあったはずで、だから私は吉田選手を推しました。

 もちろん反対意見もありましたよ。フル代表も戦っていた吉田選手はその年の6月に行なわれたワールドカップ・アジア2次予選で怪我をし、しかも五輪後には最終予選が控えていたので、「無理をさせるべきではない」と。それはそれでひとつの意見で、間違いとかではないんです。

 ただ、結果論で言えば、吉田選手はロンドン五輪に出場して正解だった。日本がベスト4に勝ち進んだおかげで、彼はサウサンプトンから声がかかったわけですから。あそこで活躍してなければ、おそらくプレミアリーグでプレーできなかったというのが私の見解です。

 その点、今回はOAふたり(吉田=32歳と酒井宏樹=31歳)がオーバー30。彼らと東京五輪世代の選手との大きな年齢差が、どう出るか。まあ、この前のジャマイカ戦を観るかぎり、遠藤航選手も含むOA3人は活躍していましたから、心配は無用かもしれませんが。
 

 なにより、6月の段階でOA3人を絡めた代表合宿を実施できたのが良かった。五輪が昨年開催だったら、OAをチームに組み込む作業は本番まで10日前後しかできなかったはず。その意味で1年延期がもたらしたメリットは大きいです。チームの骨格、戦い方がすでに見えていますよね。

 特にOA3人を“後ろ”に固めたのが奏功しているように思います。リオ五輪の時はFWの興梠慎三選手、SBの藤春廣輝選手やCBの塩谷司選手と“前と後ろ”に入れたから混乱した部分があったのかもしれません。OAを使うなら、今回みたいにいわゆる一極集中がいいでしょう。

 リオ五輪では久保裕也選手をクラブ(当時はスイスのヤングボーイズ)の事情で招集できませんでした。オリンピックはインターナショナルウィークに行なわれる大会ではないので拘束力がなくそんな事態も起こりますが、今回は“東京五輪”という理由で選手たちの所属チームはかなり協力的だったと推察できます。

 仮に他国開催ならクラブに拒否されて、海外組の堂安律選手、久保建英選手、冨安健洋選手あたりは招集できなかったかもしれません。そうしたアクシデントがなかった今回はラッキーでした。いや、これは自国開催のメリットと言うべきでしょうか。
 
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