”突破するドリブル”はスピードが絶対になる
「ドリブルはゴール(シュート)よりも簡単だ」
レアル・マドリーのブラジル代表アタッカー、ヴィニシウス・ジュニオールの言葉は重みがある。ヴィニシウスは「ドリブルはうまいのに、シュートが下手」と痛烈な批判を浴びる選手だけに、思うところがあるのかもしれない。華やかなテクニックと裏腹に、得点力が低いのは事実だ。
世界中にドリブラーは多く出ている。俊敏で、技巧が高く、ドリブルに長じた選手はそこら中にいるだろう。彼らはあちこちで「メッシ二世」「〇〇のネイマール」と異名を取る。
しかしドリブルはあくまでドリブルであって、何らかの形でゴールに結びつくことによって、はじめて武器となるのだ。
ドリブルを成功させるには、スピードとスキルが同時に必要になる。そして、コンビネーションを使うことができなければ、ドリブル単独ではすぐに動きを読まれてしまう。常に流れるプレーの中で、ドリブルを使ってゴールに迫れるか。さもなければ、「うまい」で終わってしまうのだ。
何より、スピードに乗ってボールを扱うことは難しい。そのせいで、ドリブルからシュート、もしくはパスに移行するとき、その精度は落ちる。ボールを運ぶためのドリブルはスピードを下げ、他の選択肢を持つことで問題を解決できる。しかし仕掛ける時には、ドリブルがスローだと相手にプレーを読まれてしまって、止められる。
つまり現代サッカーにおける”突破するドリブル”は、スピードが絶対になるのだ。
川崎フロンターレの三苫薫は、まさにこの点で他のドリブラーたちと一線を画している。トップスピードで仕掛けながら、技巧レベルが全く落ちない。むしろ追いすがる相手に対し、さらにギアを上げられる。対戦相手にとっては、ワープされるような錯覚を覚えるだろう。そしてドリブルは常にゴールへの選択肢で、驚くほど質の高いシュートにつながっているのだ。
それは身につけられるのか?
【動画】三笘薫の魅力が凝縮された圧巻プレー集
レアル・マドリーのブラジル代表アタッカー、ヴィニシウス・ジュニオールの言葉は重みがある。ヴィニシウスは「ドリブルはうまいのに、シュートが下手」と痛烈な批判を浴びる選手だけに、思うところがあるのかもしれない。華やかなテクニックと裏腹に、得点力が低いのは事実だ。
世界中にドリブラーは多く出ている。俊敏で、技巧が高く、ドリブルに長じた選手はそこら中にいるだろう。彼らはあちこちで「メッシ二世」「〇〇のネイマール」と異名を取る。
しかしドリブルはあくまでドリブルであって、何らかの形でゴールに結びつくことによって、はじめて武器となるのだ。
ドリブルを成功させるには、スピードとスキルが同時に必要になる。そして、コンビネーションを使うことができなければ、ドリブル単独ではすぐに動きを読まれてしまう。常に流れるプレーの中で、ドリブルを使ってゴールに迫れるか。さもなければ、「うまい」で終わってしまうのだ。
何より、スピードに乗ってボールを扱うことは難しい。そのせいで、ドリブルからシュート、もしくはパスに移行するとき、その精度は落ちる。ボールを運ぶためのドリブルはスピードを下げ、他の選択肢を持つことで問題を解決できる。しかし仕掛ける時には、ドリブルがスローだと相手にプレーを読まれてしまって、止められる。
つまり現代サッカーにおける”突破するドリブル”は、スピードが絶対になるのだ。
川崎フロンターレの三苫薫は、まさにこの点で他のドリブラーたちと一線を画している。トップスピードで仕掛けながら、技巧レベルが全く落ちない。むしろ追いすがる相手に対し、さらにギアを上げられる。対戦相手にとっては、ワープされるような錯覚を覚えるだろう。そしてドリブルは常にゴールへの選択肢で、驚くほど質の高いシュートにつながっているのだ。
それは身につけられるのか?
【動画】三笘薫の魅力が凝縮された圧巻プレー集
名将マルセロ・ビエルサがアスレティック・ビルバオを率いていた当時、スペイン代表攻撃的MFイケル・ムニアインのプレーを研究し、ドリブルはラ・リーガ屈指でありながら、ゴールが少ないことに着目したことがあった。シュートポジションに入った時の軸足や体の安定を指南。そのおかげで、ムニアインのゴールは一時的に増えた。
しかし、その変化はビエルサがチームを去ると消えてしまった。それだけ、デリケートな作業なのだろう。
ドリブルをゴールにつなげるのは難しい。それができる選手は、メッシやネイマール、あるいはキリアン・エムバペのように世界的スターとして活躍している。特効薬があったら、世話はない。
一つだけ言えるのは、ドリブルのうまさは一つのアドバンテージだということだろう。それをどのようにプレーに適応することができるか。それがドリブラーの生きる道だ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
しかし、その変化はビエルサがチームを去ると消えてしまった。それだけ、デリケートな作業なのだろう。
ドリブルをゴールにつなげるのは難しい。それができる選手は、メッシやネイマール、あるいはキリアン・エムバペのように世界的スターとして活躍している。特効薬があったら、世話はない。
一つだけ言えるのは、ドリブルのうまさは一つのアドバンテージだということだろう。それをどのようにプレーに適応することができるか。それがドリブラーの生きる道だ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。