『必ず入れろ!』『最後まで押し込め!』『ネットを揺らすまでやれ!』
練習中にかける言葉ひとつとっても、魂をこめる。工夫を凝らす。
ある日のシュート練習で、SC相模原の三浦文丈監督は何度も繰り返した。口酸っぱく、同じフレーズを口にする。
「入れろ! 入れろ!」
枠を外すのはもちろん、まだボールはアウトになっていないがそのターンは終わり、といった雰囲気になっても叫ぶ。「入れろ!」と。
「あれはね、習慣づけないとダメなんだよ。たとえば、バーに当たったボールが転がってグダグダな感じになると、そこで止めちゃう選手もいる。でも、どれだけグダグダになっても、最後までネットを揺らすっていう作業をし続けていると、それが試合中でも必ずネットを揺らそうってなる。だから、どうなっても必ずやりきって、入れろ、と」
その時はDFをつけないシュート練習だった。3人目の動き出しから打つ、サイドからのグラウンダーのクロスに合わせる。大枠の形は決まっているが、パスの角度や強弱など選手個々がアレンジを加える。流れのなかで、至近距離からシュートする場合も出てくる。GKとの距離はおよそ3メートル。決めて当たり前。そんな状況だ。
「これ、練習の意味あるの? という空気が一瞬、流れたりもするけど、俺はそういう時でも『入れろ!』と言う。それが習慣だから。『必ず入れろ!』『最後まで押し込め!』『ネットを揺らすまでやれ!』って」
特筆すべきは、そのシュート練習の終わらせ方だった。普段なら「あと5本入れたら終わり!」と本数を決めるが、趣向を変えた。
そろそろ終わらせようとした時、次にシュートを打つのは、その日はあまり上手くいっていない選手だった。三浦監督は「プレッシャーをかけてみるか」と考え、みんなを止めて“ルール”を伝えた。
「ゴールが続くかぎりは続けよう。外したら、そこで終わり!」
結果、その選手はシュートを外してしまう。練習は終了。順番を待っていたユーリが「ノー! ノー! ノー!」と抗ってみせるが、三浦監督は「試合だったら、これで終わりなんだから」と意に介さない。
「試合の時のプレッシャーはもっとある。練習中の俺のプレッシャーでゴールできなかったら、試合でなんて決められない。そういう意味でプレッシャーをかけてみたんだけど」
ある日のシュート練習で、SC相模原の三浦文丈監督は何度も繰り返した。口酸っぱく、同じフレーズを口にする。
「入れろ! 入れろ!」
枠を外すのはもちろん、まだボールはアウトになっていないがそのターンは終わり、といった雰囲気になっても叫ぶ。「入れろ!」と。
「あれはね、習慣づけないとダメなんだよ。たとえば、バーに当たったボールが転がってグダグダな感じになると、そこで止めちゃう選手もいる。でも、どれだけグダグダになっても、最後までネットを揺らすっていう作業をし続けていると、それが試合中でも必ずネットを揺らそうってなる。だから、どうなっても必ずやりきって、入れろ、と」
その時はDFをつけないシュート練習だった。3人目の動き出しから打つ、サイドからのグラウンダーのクロスに合わせる。大枠の形は決まっているが、パスの角度や強弱など選手個々がアレンジを加える。流れのなかで、至近距離からシュートする場合も出てくる。GKとの距離はおよそ3メートル。決めて当たり前。そんな状況だ。
「これ、練習の意味あるの? という空気が一瞬、流れたりもするけど、俺はそういう時でも『入れろ!』と言う。それが習慣だから。『必ず入れろ!』『最後まで押し込め!』『ネットを揺らすまでやれ!』って」
特筆すべきは、そのシュート練習の終わらせ方だった。普段なら「あと5本入れたら終わり!」と本数を決めるが、趣向を変えた。
そろそろ終わらせようとした時、次にシュートを打つのは、その日はあまり上手くいっていない選手だった。三浦監督は「プレッシャーをかけてみるか」と考え、みんなを止めて“ルール”を伝えた。
「ゴールが続くかぎりは続けよう。外したら、そこで終わり!」
結果、その選手はシュートを外してしまう。練習は終了。順番を待っていたユーリが「ノー! ノー! ノー!」と抗ってみせるが、三浦監督は「試合だったら、これで終わりなんだから」と意に介さない。
「試合の時のプレッシャーはもっとある。練習中の俺のプレッシャーでゴールできなかったら、試合でなんて決められない。そういう意味でプレッシャーをかけてみたんだけど」
シュートを決められるか、決められないか。決定力の要因は「ほぼメンタルだと思う」と三浦監督は言う。
「プロなんだから、めちゃくちゃ下手な人はいない。フリーで蹴れば、だいたいは思ったように蹴れる。そこに影響してくるのが、相手DFやGKのプレッシャーだったり、残り数分で決めたら同点になるとか、そういうシチュエーションのプレッシャーもある」
それに打ち勝てるメンタルがあるかどうか。いかにプレッシャーをはねのけてゴールを奪えるか。そこにフォーカスする。
チームはここまで2試合を消化し、1分1敗の戦績。京都サンガF.C.との開幕戦は0-2の黒星、続くザスパクサツ群馬戦は0-0のスコアレスドロー。白星だけでなく、まだ1点も奪えていない。
次節は3月14日の敵地でのファジアーノ岡山戦。三浦流の指導で日々鍛えられている選手たちは、待望の今季初ゴールと初勝利を手にできるか。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストweb編集部)
【J2第2節PHOTO】相模原 0-0 群馬|激しい攻防の試合は無得点引き分けに終わる
「プロなんだから、めちゃくちゃ下手な人はいない。フリーで蹴れば、だいたいは思ったように蹴れる。そこに影響してくるのが、相手DFやGKのプレッシャーだったり、残り数分で決めたら同点になるとか、そういうシチュエーションのプレッシャーもある」
それに打ち勝てるメンタルがあるかどうか。いかにプレッシャーをはねのけてゴールを奪えるか。そこにフォーカスする。
チームはここまで2試合を消化し、1分1敗の戦績。京都サンガF.C.との開幕戦は0-2の黒星、続くザスパクサツ群馬戦は0-0のスコアレスドロー。白星だけでなく、まだ1点も奪えていない。
次節は3月14日の敵地でのファジアーノ岡山戦。三浦流の指導で日々鍛えられている選手たちは、待望の今季初ゴールと初勝利を手にできるか。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストweb編集部)
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