【番記者選定のチェルシー最強ストライカー番付TOP10(1990年以降)】
1位:ディディエ・ドログバ(元コートジボワール代表)
2位:エデン・アザール(ベルギー代表)
3位:ジャンフランコ・ゾーラ(元イタリア代表)
4位:ジミー・フロイト・ハッセルバインク(元オランダ代表)
5位:ジエゴ・コスタ(スペイン代表)
6位:エイドゥル・グジョンセン(元アイスランド代表)
7位:アリエン・ロッベン(元オランダ代表)
8位:トーレ・アンドレ・フロー(元ノルウェー代表)
9位:ジャンルカ・ヴィアッリ(元イタリア代表)
10位:ニコラ・アネルカ(元フランス代表)
「164」の通算ゴール、「14」の獲得タイトルという数字だけではとうてい語り尽くせないのが、ドログバの功績だ。
2004年夏にマルセイユからやってきた野性味溢れるストライカーは、単なるゴールではなく重要なゴールをいくつも決め、チェ
ルシーというクラブをひとつ上の次元へと押し上げた。
クラブ史とファンの心に永遠に刻まれるのが、チャンピオンズ・リーグ初優勝を手繰り寄せることになった、12年のファイナルでの一発だ。0-1で迎えた88分、CKにニアで合わせて突き刺した起死回生の同点ヘッドは、バイエルンに痛烈なダメージを与える決定的なゴール。PK戦でもラストキッカーの大役を果たした。
CL優勝を置き土産に退団したドログバは、2年後に復帰すると、モウリーニの下で副主将としてプレミアリーグ優勝の力にもなった。
重要なゴールでクラブを一つ上の次元へ
アザール、ゾーラ、ロッベンは、いわゆる9番ではないが、いずれも前線の核として勝利をもたらしたレジェンドだ。
アザールは90年以降ではランパード、ドログバに次いで3位となる通算110ゴールを挙げ、エースの座に君臨した。
ロッベンは鋭い突破から鮮やかにゴールを陥れ、モウリーニョの下でのプレミアリーグ連覇(04-05、05-06)に貢献している。
ゾーラは長い低迷期を過ごしていたクラブに栄光を取り戻したいわば中興の祖で、カップウィナーズ・カップ(UEFAカップと統合した現ヨーロッパカップ)優勝に導いた98年決勝でのゴールがとくに印象深い。
このゾーラとともに90年代後半のブルーズを牽引したのがヴィアッリとフローだ。ヴィアッリは勝者のメンタリティーを持ち込んでクラブカルチャーを一新し、いまに繋がる繁栄の礎を築いた功労者。1メートル90センチ超えのフローは打点の高いヘディングでゴールを重ねた。
アブラモビッチ体制発足前の00年代前半に2トップを担った名コンビ、ハッセルバインクとグジョンセンも忘れてはならない。1500万ポンド(当時のレートで約24億円)という当時のクラブレコードで加入したハッセルバインクは、1年目から得点王に輝くなど期待に違わぬ活躍を披露し、とにかくファンに愛された。退団後に敵としてスタンフォード・ブリッジでゴールを決めた際にも、大歓声が湧き上がったほどだ。
ドログバが復帰した同じシーズンに加入したD・コスタは、そのドログバ以来の本格派の9番としての系譜を継いだ。相手を蹴散らすような豪快なフィニッシュはまさにドログバを彷彿とさせ、16-17シーズンのプレミア優勝の立役者に。指揮官のコンテとの衝突→退団がなければ、偉大な先達に肩を並べるような存在になっていたかもしれない。
ドログバとはチームメイトとして時に助け合い、時に競い合ったアネルカは、持ち前の万能性で前線のあらゆるタスクをハイレベルにこなす仕事人だった。
ランパードの下、新たなサイクルを開いた現チームには、ヴェルナー、ハベルツ、プリシッチ、エイブラハムと超逸材が揃ったが、彼らはスタートラインに立ったばかり。いずれにしても、レジェンドへの道は果てしない。
文●マット・バーロウ(デイリー・メール紙)
翻訳●松野敏史
※『ワールドサッカーダイジェスト』2020年11月5日号から転載