カメルーン戦でのワクワク感のなさはなんなのか。日本代表が退屈だった一因は?

カテゴリ:日本代表

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2020年10月10日

もっとも心を奪われたプレーが南野のトラップでは…

南野は光るプレーもあったが……。やはり欲しかったのはゴールだ。写真:龍フェルケル

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[国際親善試合]日本 0-0 カメルーン/10月9日/スタディオン・ハルヘンワールト(オランダ/ユトレヒト)

 最後の最後に大きな見せ場はあった。あそこでFKが決まっていれば、キッカーの久保建英がカメルーン戦のヒーローとなり、日本国内も盛り上がったかもしれない。しかし実際はそのFKも相手GKに防がれ、スコアは0-0。いまひとつの内容のうえに、スコアレスドローとどこか消化不良の結果に終わった。

 もちろん、久保のFK以外にも良いプレーはいくつかあった。酒井宏樹のタイトな守備、南野拓実の巧みなトラップ(13分)、鎌田大地のクイックターン(73分)、伊東純也の高速ドリブルなどがそうで、なかでも印象深かったのは南野のそのトラップだ。

 後方からの縦パスに対し、走って寄せてきた相手の力を逆に利用するかのようにクルッと反転しながらボールを収めた南野のセンスはさすがのひと言だった。その直後のパスミスはいただけなかったが、南野の流れるようなトラップが局面をガラリと変えたのは紛れもない事実だった。このシーンはまた、サッカーにおいてトラップが如何に重要かを示す事象でもあった。

 アンドレス・イニエスタのトラップも、単純なようで計算し尽くされている印象だ。数手先まで読んだうえで、ボールの置き所を決める。だからこそ、トラップしたあと無駄なくスムーズな攻撃を展開できるのだろう。トラップこそすべて、イニエスタのプレーはそれを雄弁に物語る。
 
 少し話が逸れたが、カメルーン戦でもっとも心を奪われたのが南野のトラップということに対しては、同時に違和感もある。カメルーン戦での最大のハイライトがそこでいいのか、と。お世辞にも面白い試合とは言えなかった。どうにか無失点で乗り切った日本も、攻撃面はどちらかと言えばチグハグだった。

 約1年ぶりの代表戦で連係不足は致し方ない部分もある。しかし、このワクワク感のなさはなんなのか。戦術的な側面では、後半に試した「1トップ+2シャドー」のほうがこの日はハイプレスが機能したなど取り上げるべき点はあるが、それでも……。国際親善試合とはいえ、勝てなかった事実は重く受け止めるべきだ。監督、複数の選手とも今回のオランダ遠征で結果にこだわりたいと言っていたから、なおさらそう感じる。

 退屈だった一因は、今の日本代表がどんなサッカーをしたいのか、それがほとんど伝わってこなかったところにある。もちろん選手は頑張っているのだろうが、森保流のコンセプトがピッチ上で見えなかった点は懸念に映る。長友佑都や中島翔哉らも不在でベストメンバーではなかったから仕方ないとの見方があったとしても、こう否定したい。代表戦でそんな言い訳は通用しない、と。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)

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