【川崎】J1タイ記録、9連勝達成の要因。チームに備わる高い分析能力と適応力

カテゴリ:Jリーグ

江藤高志

2020年08月16日

札幌戦は序盤苦戦するも…

三笘(18番)らの活躍で札幌に6-1で勝利。連勝記録を9に伸ばした。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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[J1 10節]札幌1-6川崎/8月14日/札幌ド

 敵地で札幌に勝利した川崎が、リーグ戦での連勝記録を9に伸ばした。この結果、同一シーズンとしては、G大阪が1997年と2018年に、また2007年に鹿島がマークした“J1最多連勝記録”に並んだことになる。歴史ある強豪クラブと肩を並べ、新記録への挑戦権を得た形(次節は8月19日にホームでC大阪と対戦)だが、今季の川崎の強さの秘訣はなんなのだろうか。

 そのひとつとして上げたいのが分析能力の高さだ。

 もちろん試合前の分析は当然として、試合中も川崎対策を取ってきた相手の出方を分析。即座にそれをピッチ上の選手たちに浸透させるスピード感があるのだ。

 それは例えば9連勝を記録した札幌戦がそうであろう。札幌が真っ向勝負してくるのは予想通りとして、その出方は特長的だった。札幌のボランチが川崎のインサイドハーフに、さらに左ウイングの旗手怜央に対しては2枚で挟み込む形での守備を繰り返した。

 その結果、川崎は左サイドからの攻撃が停滞させられた。局面での激しい守備に、チーム全体のボールロストも増えるなか、鬼木達監督は飲水タイムを境に左右のウイングを入れ替えて対応(右に旗手、左に宮代大聖を配置)。特に旗手が右に回ることで、集中的にケアされていた右SBの山根視来とともに守備の圧力を分散させることに成功している。

 
 札幌戦の先制点となったFKからの車屋紳太郎の得点も、ゾーンで守る札幌の守備を上手く操り、車屋をフリーにさせたところで生まれている。

 札幌戦に関して付け加えるとすれば、後半開始からの三笘薫(左ウイングへ)、田中碧(インサイドハーフへ)の投入も成功。自分たちで流れを手繰り寄せた形だった。

 相手の出方を見極め、試合の流れを変えるという意味ではクラブ新記録の7連勝をマークしたアウェーでのG大阪戦(8月1日の8節)もそうだった。この試合では内容で上回られた前半を経て、三笘を投入した後半から4-3-3の中盤の形を逆三角形からトップ下に家長昭博を置く形に変更。苦しみながらも勝利を手にしている。

 これだけ連勝し続けると、対戦相手による川崎対策は徹底される。それはつまり川崎が実施する試合前の分析だけでは足りない場面も出てくるということだ。もっとも、試合を始める際に4−3−3の形を崩さないところに鬼木監督のこだわりが見て取れる。

 あの手この手でフロンターレを上回ろうとしてくる相手チームに対し、まずは自分たちのスタイルを貫こうとする姿勢。そして問題が分かっていながらも選手たちに解決を委ね、ピッチ上での変更に限界があれば、躊躇なく対応する。質の高い分析能力の上にある臨機応変さが9連勝の結果につながっている。

取材・文●江藤高志(川崎フットボールアディクト)
 
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