【現役監督のCL展望】マンCが有利。だがマドリーが先制して流れを引き寄せれば…

カテゴリ:ワールド

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2020年08月07日

経験値はマドリーのほうが明らかに上

有利な立場にあるマンチェスター・シティはデ・ブルイネ(左)が絶好調。第1レグで敗れたマドリーは先制できれば勝機が生まれる。アザール(右)をはじめアタッカー陣に注目だ。(C)Getty Images

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[チャンピオンズ・リーグ ラウンド・オブ16 第2レグ展望]
マンチェスター・シティvsレアル・マドリー
●日時:8月7日21時(日本時間28時)キックオフ
●会場:シティ・オブ・マンチェスター
●欠場者
・出場停止:マンチェスター・シティ=メンディ(DF)、R・マドリー=S・ラモス(DF)
・欠場濃厚の負傷者:マンチェスター・シティ=アグエロ(FW)、R・マドリー=マリアーノ(FW)
●第1レグの結果:マンチェスター・シティが2-1で勝利

 本来ならば決勝で戦ってもおかしくない優勝候補同士の対決。敵地サンティアゴ・ベルナベウでの第1レグを2-1で制したマンチェスター・シティが明らかに有利な立場にある。とはいえ、現在のチーム状況は両チームともに良好であり、主力組の故障欠場はアグエロ(シティ)のみ。内容的にきわめてレベルの高い戦いが期待できる。

 マドリーは、カゼミーロ、バルベルデというハードワークが持ち味のソリッドなMF2人を重用し、クロースとモドリッチの一方をベンチに置く戦い方もレパートリーに加えるなど、より攻守のバランスが取れた堅実なチームとなっている。

 安定した戦いぶりで勝ち星を重ねてバルセロナを振り切ったラ・リーガ再開後の戦いぶりを見ても、チームとして完成の域に達した感がある。惜しむらくは、3月の第1レグを不本意なミスにより与えたPKで落とし、そのファウルを犯したS・ラモスを出場停止で欠くこと。チームの精神的支柱であると同時に、セットプレーでの得点源として攻撃においても重要な役割を担うキャプテンの欠場は、そうでなくとも困難な逆転を狙うマドリーにとっては大きなハンディキャップだ。
 
 一方のシティは、再開の段階でプレミアリーグ優勝の可能性が事実上ゼロだったこともあり、このCLに照準を合わせた計画的な選手起用でコンディションを管理し、チームを仕上げてきている。これは大きなアドバンテージだ。実力的にはほぼ互角とはいえ、こうした状況を考慮するとシティの優位は揺るがない。

 勝ち上がりを逃すことがあるとすれば、自分たちのプレー哲学に従って攻撃的に振舞い続けた結果、隙を衝かれて失点を重ねた時だろう。流れを掴めば3点、4点と奪う一方、ひとつ躓くとそこで修正が効かず、失点を重ねて完敗するというアクシデントが年に何度か起こるところが、シティのほぼ唯一の弱点だ。
 
 今シーズンのマドリーは、ボール支配によって主導権を握るテクニカルなチームから、必要ならば主導権を相手に渡して厳しいプレッシャーをかけ、ポジティブトランジション(守→攻への切り替え)からの速攻に活路を見出す戦い方も辞さない、よりプラグマティックでソリッドなチームに変貌した。

 試合はシティがボールを握る展開になるだろうが、仮にマドリーが効果的なハイプレスでシティにスムーズなビルドアップを許さず、敵陣でのボール奪取からショートカウンターでゴールを襲う場面を再三作り出すような展開を作り、先制して試合の流れを引き寄せ、心理的な優位に立てれば、小さいながらも勝機が見えてくる。

 試合が緊迫して小さなディテールが勝敗を分けるような状況になった時にモノをいう経験値では、マドリーがシティを大きく上回る。それを最大限に利用してピッチ上に自分たちに有利な空気を作り出す影響力を持ったS・ラモスの不在は、その点でも痛い。

 しかし、アザール、イスコ、アセンシオからヴィニシウス、ロドリゴまで、途中出場から試合を決められるクオリティーを備えたアタッカーのバリエーションは、1ゴールを争うところまで相手を追い詰めた後には、土壇場で決定的な違いを作り出す可能性も秘めている。

分析●ロベルト・ロッシ
翻訳・構成●片野道郎
※『ワールドサッカーダイジェスト8月6日発売号』より転載。同号では、一発勝負の短期決戦となるチャンピオンズ・リーグを大展望している。

【分析者プロフィール】
1962年3月16日生まれのイタリア人監督。MFだった選手時代は名将サッキや元日本代表監督のザッケローニに師事し、99年に引退。01~08年はインテルなどでザッケローニのコーチ兼スカウト。その後はイタリアの下部リーグで監督を務め、19年1月からチェゼーナ女子(セリエB)を率いる。
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