「プレーできるレベルにある」では意味がない
サッカーは多様で、正解がないスポーツである。しかし、いくつか道しるべとなる“戒め”はあるだろう。
「選手は試合を重ねることで成長する」
これは、一つの真理だろう。言うまでもないが、基礎を作るのはトレーニングにある。しかし、そこで培った技術を実戦で使って高めないと、真の成長は望めない。練習だけでは、一流選手になり得ず、トレーニングの成果を出す場所が必要で、そこでのみ鍛錬されるものがある。
それだけに、ヨーロッパや南米では出場機会が望めない選手を、レンタル(期限付き移籍)で出すことが基本になっている。日本では、レンタル移籍は未だに“出向”のようにネガティブな響きを与える。しかし、それはプロサッカー選手が成長するために必要なアクションだ。
世界に冠たるレアル・マドリーは、試合経験での成熟をなにより重視している。若い選手をベンチに置くのは、生殺しも同然。今シーズンだけでも、アシュラフ・ハキミ(ボルシア・ドルトムント)、アルバロ・オドリオソラ(バイエルン・ミュンヘン)、ダニ・セバジョス(アーセナル)、セルヒオ・レギロン(セビージャ)、マルティン・ウーデゴー(レアル・ソシエダ)、ボルハ・マジョラル(レバンテ)、オスカル・ロドリゲス(レガネス)、アンドリー・ルニン(バジャドリー)、そして久保建英(マジョルカ)などを”武者修行“に出している。
どれだけのタレントも、“戦場慣れ”していないとシーズンを通して計算できない。「プレーできるレベルにある」では意味がないのである。実際にプレーし、チームに貢献するには、試合を戦い続ける体力と気力を身につけることが条件だ。
「選手は試合を重ねることで成長する」
これは、一つの真理だろう。言うまでもないが、基礎を作るのはトレーニングにある。しかし、そこで培った技術を実戦で使って高めないと、真の成長は望めない。練習だけでは、一流選手になり得ず、トレーニングの成果を出す場所が必要で、そこでのみ鍛錬されるものがある。
それだけに、ヨーロッパや南米では出場機会が望めない選手を、レンタル(期限付き移籍)で出すことが基本になっている。日本では、レンタル移籍は未だに“出向”のようにネガティブな響きを与える。しかし、それはプロサッカー選手が成長するために必要なアクションだ。
世界に冠たるレアル・マドリーは、試合経験での成熟をなにより重視している。若い選手をベンチに置くのは、生殺しも同然。今シーズンだけでも、アシュラフ・ハキミ(ボルシア・ドルトムント)、アルバロ・オドリオソラ(バイエルン・ミュンヘン)、ダニ・セバジョス(アーセナル)、セルヒオ・レギロン(セビージャ)、マルティン・ウーデゴー(レアル・ソシエダ)、ボルハ・マジョラル(レバンテ)、オスカル・ロドリゲス(レガネス)、アンドリー・ルニン(バジャドリー)、そして久保建英(マジョルカ)などを”武者修行“に出している。
どれだけのタレントも、“戦場慣れ”していないとシーズンを通して計算できない。「プレーできるレベルにある」では意味がないのである。実際にプレーし、チームに貢献するには、試合を戦い続ける体力と気力を身につけることが条件だ。
例えば、マドリーに残留してトップデビューを飾り、一躍、名前を打ったブラジル代表FWロドリゴだが、ポジションを確保することはできなかったサブの域を出ない。マドリーの選手として、シーズンを通して安定して出場するのは、至難の業である。若い選手は経験が浅いだけに、どうしても調子が落ちる時があるのだ。
プレーの波をなくすには、まずは試合経験を積むことだ。
現在のマドリードの主力でも、ダニエル・カルバハル、カゼミーロ、ルーカス・バスケス、フェデリコ・バルベルデなどは一度、他のクラブへ貸し出され、試合経験を積んだ後に戻ってきて、その座をつかみ取っている。彼らは先達と言えるだろう。逆説すれば、レンタルして出場機会も得られないような選手は、マドリーの選手たるべき資格がないのだ。
2019-20シーズン、久保の評価は間違いなく上がった。1シーズン、1部マジョルカで主力としてチームを引っ張った経験は、何物にも代えがたい。プロ選手としての“血肉”になっているはずだ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。
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