７月26日、前日にDF宮原和也の新型コロナウイルス感染を報告していた名古屋は、選手ら約60人のPCR検査の結果として、新たにMF渡邉柊斗とトップチームスタッフ１人に陽性反応が出たことを発表した。

　渡邉およびトップチームスタッフについては、宮原との濃厚接触者には該当せず、現状では２人とも体調に異常はなく、渡邉は選手寮内で隔離、トップチームスタッフは自宅で静養。また２人の濃厚接触者を保健所とともに特定を進めている段階だという。

　ただ一連の流れを受けて７月26日に開催予定だったJ１の７節、広島と名古屋の一戦の中止が決定。急遽、村井満Ｊリーグチェアマンと名古屋の小西工己代表取締役社長が、オンラインでの緊急会見に臨んだ。

　時系列としては７月22日の６節、アウェーでの大分戦にも帯同していた宮原は、試合への出場こそなかったが、チームメイトとともに新幹線、貸し切りバスで移動。同24日の朝に発熱（38.0℃）および頭痛の症状が出て、PCR検査を実施し、陽性判定を受けた。ただチームは25日に広島戦に向けて感染予防策を徹底したうえでトレーニングを行ない、選手ら約60人にPCR検査を実施。

　名古屋市の保健所からは名古屋、対戦相手の大分に関しても濃厚接触者はなしとの判断が出ており、検査で陰性が確定した選手16人とスタッフ１名は25日の夜に広島へ移動。しかし渡邉とスタッフに陽性判定が出たことで事態が変わったという。ちなみに陽性者となったスタッフについて小西社長は「（フィッカデンティ）監督ではございません。ただそれ以上の詳細な中身はプライバシーに関わることですので」と個人名は避けた。

　今朝８時より小西社長、専門家を交えて協議を行なったという村井チェアマンは、「最終的には濃厚接触者の特定は名古屋市の保健所の管轄になると聞いていますが、今日の夕方から夜にかけて（渡邉、スタッフに関する）濃厚接触者の判定が出るということ。広島に移動している17名は全員陰性ではあるものの、その中に濃厚接触者がいるとすれば、確実に安全に試合を行なえない可能性があるということで、今日の朝の協議で中止をしようと決めました」と説明

　代替試合のスケジュールに関しては早急に決めるとのことで、週明けにスタジアム関係の手配などを行ない「中止という判断にはならないと認識しています」（村井チェアマン）という。

　名古屋は今後、８月１日に８節・柏戦を豊田スアジアムで予定している。柏といえば、中断期間には他チームとのトレーニングマッチを行なわないなど、徹底した観戦予防策を講じてきたが、「柏に限らず全クラブが不安を感じていると思います。保健所と連係して十分な対処を行なっていく」（村井チェアマン）とした。

　その柏戦は無観客にするなどの対処は現時点では考えていないとのことで、ここ数試合どおり、豊田スタジアムの場合は5000人を上限に観客を入れての試合を目指す。

　名古屋としては「８月１日の試合に関しまして（柏の）ネルシーニョ監督は70歳ということでご不安との話もありましたが、明日、再度PCR検査を全員に行ない、31日のJリーグ全体のPCR検査の前にも複数回、ピッチを刻んでPCR検査を行ない、安心、安全を確認したうえで全力で８月１日に臨ませていただきたいと思います」と小西社長は話した。

　なお今後のトレーニングに関しても保健所と協議を行ないながら、実施していくということで、広島に移動している17名に関しても、十分に配慮をして名古屋への移動手段を模索するという。

取材・文●本田健介（サッカーダイジェスト編集部）