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400:275は7000:850に…プレミアとJリーグの収益差が四半世紀で7.5倍に広がったワケ【アジア戦略のいま #1】

カテゴリ:Jリーグ

長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

2020年07月06日

2012年にアジア戦略が本格スタートするまで、ほぼ国内でファンベースを広げてきたJリーグ

ほぼ同時期に発足したプレミアリーグとJリーグ。この四半世紀で大きな収益格差が生まれた。(C) Getty Images

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 新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020シーズンのJリーグは、約4か月もの中断を余儀なくされた。7月4日からようやくJ1リーグが再開されたが、今季も各チームにおける助っ人外国籍選手の重要度は高い。そんななかで近年、存在感を示しつつあるのが、2018シーズンにJリーグベストイレブンに輝いたチャナティップに代表されるタイ人プレーヤーだ。昨年は、横浜F・マリノスのティーラトンがシーズンを通じた働きでリーグ優勝に貢献し、今季は2シーズンぶりのJリーグ復帰となるタイの英雄的存在ティーラシンが清水エスパルスに加入。さらに同代表の守護神、カウィンが北海道コンサドーレ札幌に加入し、チャナティップの同僚となった。

 こうしてタイ人プレーヤーがJリーグにおけるプレゼンスを高めてきた背景にあるのが、Jリーグが2012年から本格的に進めてきた「アジア戦略」であることは言うまでもない。世界のサッカー市場におけるアジアの価値向上を目指すとともに、Jリーグ・クラブ・パートナー三者の新規事業機会を創出し、将来的にアジア内でのリソースを最大化させることを目標に掲げるJリーグの「アジア戦略」。果たして、スタートから8年の月日を経て、その成果はどのように現われてきているのか。株式会社Jリーグ グローバルカンパニー部門の小山恵氏に話を伺った。

 そもそもアジア戦略が本格化する以前のJリーグは、小山氏曰く「海外に対して仕掛けるようなことはほぼ無かったと思います」という。Jリーグ全体の収益はほぼ100パーセント国内で生み出されたものであり、その割合はJリーグ誕生以来、「アジア戦略」がスタートするまでほとんど変わらなかった。

 プレミアリーグとの比較を例に挙げると、海外展開がいかに収益の拡大に大きな影響を及ぼすかは明白だ。92年に開幕したプレミアリーグは当時、全クラブで400億円ほどの収益規模。93年開幕のJリーグも全10クラブで275億円ほどの収益があった。しかし、それから約四半世紀が経過すると、Jリーグ(J1)の収益が約3倍の約850億円に到達したのに対して、プレミアリーグは約7000億円と桁違いの収益規模を誇っている(※データ出典はJリーグ)。

 その差が生まれている背景を、小山氏は「プレミアリーグは国内だけでなく、全世界でファン層を広げてきましたが、Jリーグはその間、ほぼ国内に特化してファンベースを広げてきました」と語る。プレミアリーグは、他の欧州リーグと比較しても、海外からの収益率が高く、年間約4100億円の放映権料(2019-20~21-22シーズン)のうち5割弱が海外からの収益としている。一方でJリーグは「アジアを中心に少しずつ海外の放映権料が上がってきたとはいえ、まだ全体の5パーセント程度」だという。

 また、16-17~19-20シーズンのプレミアリーグの海外放映権の内訳を見ると、約4割にあたる538億円をアジアから稼いでおり、国別では香港が129億円でトップ。さらにタイ(96億円)、シンガポール(89億円)、マレーシア(60億円)といった東南アジア諸国が続く。日本よりも格段に大きい金額が、香港・東南アジアから欧州へと流れているのが現状なのだ。
 
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