「あいつはめちゃくちゃ上手かった」
3月の「サッカーダイジェスト」の企画『ブレイク候補ランキング』で、セレッソ大阪の坂元達裕にインタビューする機会をもらった。
今季山形からC大阪に完全移籍した坂元は、プロ2年目ながら、中断期間に入るまで堂々たるパフォーマンスを見せていた。プレシーズンの京都戦でカットインからゴールを奪うと、ルヴァンカップ第1節の松本戦、リーグ開幕戦の大分戦でスタメン出場する。大分戦の70分に披露した、これぞ真骨頂という切れ味鋭いドリブルシュートは圧巻。スタジアムを大いに沸かせてみせた。
ボールを持つ度にワクワクさせてくれる坂元とのインタビューでは、そのドリブラーとして進化を遂げてきたルーツを訊かせてもらった。
プロ入り後は大卒1年目でJ2の42試合に出場して7得点し、スピード出世を果たしたが、決してその道のりは平坦ではなかった。スランプに陥った中学時代、チームを引っ張る責任感に押しつぶされそうになった大学時代と、何度も訪れた挫折を乗り越えて、そして、いまや逆境を楽しめるほどに逞しく成長してきたのだ。
そんな坂元のプレースタイルを観ていて感じたことがあり、インタビュー後にふと訊いてみた。
――ボールタッチは香川真司選手に、キックフェイントは中村俊輔選手に似ていますよね。意識したり、参考にしたりしているんですか?
「香川選手は小さい頃の憧れだったから、影響を受けたところはありますね。キックフェイントも参考にした選手はいるんですけど、中村選手じゃないんです」
――では誰を?
「小泉佳穂です。琉球の」
坂元と小泉は中学からのチームメイトだ。FC東京U-15むさしで知り合い、前橋育英高に進学してからも、お互いに切磋琢磨してきた。ドリブラーの坂元に対し、小泉はいわゆる10番タイプ。パスセンス溢れるテクニシャンである。
「あいつはめちゃくちゃ上手かったです。特にそういうフェイントとかが。色々と真似させてもらいましたもん」
坂元は、間近で刺激し合う戦友がいたからこそ、今のプレースタイルがあるのだという。
そこで最後に理想のプレーヤー像を尋ねたところ、彼の急成長の要因が分かった気がした。
「特にないです。僕はオリジナルのリズムを持っていると思っていて、そこにいろんな人から吸収したものを取り込んで独自のプレースタイルを作ってきたと思っています。だから、今後もどんなプレーヤーになるのか分からないです。今セレッソでやっていても、キヨくん(清武弘嗣)のスルーパスとか、(柿谷)曜一朗くんのトラップとか、真似したいプレーはたくさんあります。そういうものを学びつつ、自分の感性を大事にしてやっていきたいです」
年々ステップアップを遂げるドリブラーの加速度的な進化の背景には、他人のプレーからインスピレーションを受けて自分のものに昇華させる柔軟な姿勢があるのだろう。
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)
今季山形からC大阪に完全移籍した坂元は、プロ2年目ながら、中断期間に入るまで堂々たるパフォーマンスを見せていた。プレシーズンの京都戦でカットインからゴールを奪うと、ルヴァンカップ第1節の松本戦、リーグ開幕戦の大分戦でスタメン出場する。大分戦の70分に披露した、これぞ真骨頂という切れ味鋭いドリブルシュートは圧巻。スタジアムを大いに沸かせてみせた。
ボールを持つ度にワクワクさせてくれる坂元とのインタビューでは、そのドリブラーとして進化を遂げてきたルーツを訊かせてもらった。
プロ入り後は大卒1年目でJ2の42試合に出場して7得点し、スピード出世を果たしたが、決してその道のりは平坦ではなかった。スランプに陥った中学時代、チームを引っ張る責任感に押しつぶされそうになった大学時代と、何度も訪れた挫折を乗り越えて、そして、いまや逆境を楽しめるほどに逞しく成長してきたのだ。
そんな坂元のプレースタイルを観ていて感じたことがあり、インタビュー後にふと訊いてみた。
――ボールタッチは香川真司選手に、キックフェイントは中村俊輔選手に似ていますよね。意識したり、参考にしたりしているんですか?
「香川選手は小さい頃の憧れだったから、影響を受けたところはありますね。キックフェイントも参考にした選手はいるんですけど、中村選手じゃないんです」
――では誰を?
「小泉佳穂です。琉球の」
坂元と小泉は中学からのチームメイトだ。FC東京U-15むさしで知り合い、前橋育英高に進学してからも、お互いに切磋琢磨してきた。ドリブラーの坂元に対し、小泉はいわゆる10番タイプ。パスセンス溢れるテクニシャンである。
「あいつはめちゃくちゃ上手かったです。特にそういうフェイントとかが。色々と真似させてもらいましたもん」
坂元は、間近で刺激し合う戦友がいたからこそ、今のプレースタイルがあるのだという。
そこで最後に理想のプレーヤー像を尋ねたところ、彼の急成長の要因が分かった気がした。
「特にないです。僕はオリジナルのリズムを持っていると思っていて、そこにいろんな人から吸収したものを取り込んで独自のプレースタイルを作ってきたと思っています。だから、今後もどんなプレーヤーになるのか分からないです。今セレッソでやっていても、キヨくん(清武弘嗣)のスルーパスとか、(柿谷)曜一朗くんのトラップとか、真似したいプレーはたくさんあります。そういうものを学びつつ、自分の感性を大事にしてやっていきたいです」
年々ステップアップを遂げるドリブラーの加速度的な進化の背景には、他人のプレーからインスピレーションを受けて自分のものに昇華させる柔軟な姿勢があるのだろう。
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)