3月15日に、本田圭佑は待望のブラジル・デビューを飾った。とりわけ前半のパフォーマンスは素晴らしかった。
だが、このバングーとの一戦が始まるから、ボタフォゴがこの33歳のベテランMFを獲得したのは英断だったと私は思っていた。彼のサッカーに取り組む真摯な態度、熱心にトレーニングをする姿は、若いチームメイトたちの手本となっているからだ。それだけでも、ボタフォゴはこの“賭け”に勝ったのではないかと思う。
29分に本田がPKを決めると、新型コロナウイルスも恐れず、皆が駆け寄ってハグをした。GKのロベルト・フェルナンデスでさえ、ゴールから飛び出してきた。
若いチームメイトたちの手本となっている
この時、本田はとてもプロフェッショナルな行動を見せた。PKを獲得したFWラファエウ・ナバーロを抱き寄せ、ゴール裏のカメラに向かって彼を称えるポーズをしたのだ。「初ゴールは、こいつのおかげでできたんですよ」と言わんばかりに。
本田がこうしてチームをひとつにした。
ボタフォゴはここ数か月苦しんできた。結果が出せず、監督は更迭され、選手はブーイングされた。おまけにクラブの財政状況も火の車だ。
しかし、新監督のアウトゥオリが的確な指示を出し、本田が自信を取り戻させた。63分間のプレーだったが、彼がこのチームのリーダーであることは、はっきりと見て取れた。
取材・文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子