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“クライフ信奉者”を監督に据えても、体現できる選手がいない――バルサが抱える根本的な問題【現地発】

カテゴリ:連載・コラム

エル・パイス紙

2020年02月05日

意気揚々としていた表情からは不安げな影が…

キケ・セティエンの就任でスタイルは確実に変わった。だが、結果が出ているかと言えば、そうでもない。(C)Getty Images

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 フットボールの世界では監督の交代が起きると、選手の状況が一変することがある。キケ・セティエンがバルセロナの監督に就任してからクレマン・ラングレではなく、サミュエル・ウンティティを重用されているのもそうだ。

 前監督のエルネスト・バルベルデは、前線の得点力を活かすべく、縦に速い攻撃を志向しブスケッツをシステムに融合するのに苦心している様子すらあった。

 翻ってキケ・セティエンは、最終ラインからパスを繋ぐポゼッションスタイルに取り組んでいる。セルヒオ・ブスケッツを戦術上のキーマンに指名し、ラングレよりもウンティティを好んで起用するのもそうした両監督が嗜好するフットボールの違いからきている。

 ただウンティティは故障明けでコンディションに不安を抱えているのは周知のとおり。加えて3バックの右CBにはセルジ・ロベルトを起用しているが、彼はDFが本職ではない。バレンシア戦でもそうした弱点を突かれ、奥行きがなく浅い攻撃に終始し、守備でもリトリートしてもコンパクトな陣形を保てず、新監督の戦術は機能したとは言い難かった。
 
 バルベルデのアプローチはもっと現実的だった。主力の高齢化に伴いチーム全体の運動量が低下している現状を踏まえて、その戦術は守護神マルク=アンドレ・テア・シュテーゲンとDFリーダーのジェラール・ピケの守備力と、リオネル・メッシとルイス・スアレスの得点力を活かすことに傾注されていた。

 就任以来、ラ・リーガ連覇など確かな功績を残したが、クラブ幹部は常にショッキングな逆転負けを繰り返すチャンピオンズ・リーグでの戦いぶりに不満を抱いていた。彼らが今シーズン指揮官に要望したのは、アントワーヌ・グリエーズマンとフレンキー・デヨングという補強の目玉2人を有効活用してプレーモデルを見直すというものだった。

 しかしその結果、守備の安定感が低下し、失点が急増。結果を残してきたにもかかわらず、自らのやり方を否定された時点でバルベルデはバルベルデでなくなったのかもしれない。

 対するキケ・セティエンは監督就任早々、試合内容も重視することを宣言した。ただそもそも実戦をこなしながら戦術を構築していく監督であり、シーズン途中の就任でカンフル剤としてチームレベルを引き上げるようなタイプではない。

 その新指揮官も自らに課されたミッションの難しさにデビューから数試合を経て十分に認識できたはずだ。実際、着任当初は意気揚々としていた彼の表情からは不安げな影が垣間見えるようになっている。現時点で浮かび上がる最大の疑問は、植え付けようとしている新戦術を体現できる選手が、今のバルサに揃っているかという点だ。
 
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