その目には光るものがあった。A代表デビューを果たした喜びからではない。不甲斐なさからだ。

　なでしこジャパンは10月６日、国際親善試合でナイジェリア女子代表と、ノエビアスタジアム神戸で対戦。田中美南が後半に２ゴールを奪い、２－０と快勝を収めた。

　先のU-20女子ワールドカップで４ゴールを挙げ、大会MVPに輝いた浜野まいかに出番が訪れたのは、69分だった。

「邪魔になるから」という理由で続けている、いつものシャツインスタイルでINAC神戸レオネッサの先輩・田中美と代わって、最前線へ。精力的にプレスを掛け、ピッチを駆け回った。しかし、与えられたおよそ20分の中で、チャンスに絡むような活躍はできなかった。

　試合後のフラッシュインタビューでは悔しさが溢れた。18歳は言葉を詰まらせながらも、率直な思いをこう伝えた。

「チャンスを貰ったからには結果を残したいなと思いました。もっと練習して上手くなって、結果を残せるように頑張りたいです。少しのチャンスを貰えたからには、結果という形で残せるフォワードにならないといけないなと思いました」
【動画】言葉を詰まらせながらも必死に…A代表デビュー直後の浜野のインタビュー

　必至に言葉を紡いだインタビューからおよそ１時間。先ほどよりはややスッキリした表情でミックスゾーンに現われた浜野だが、口にしたのはやはり反省点だった。

「やっぱりフォワードとしてもっとゴールに向かうプレーはしたいと思ったし、シュートも打ちたかったです。（次は）まずシュートを打つ。それに味方のチャンスも作ったり、楽しめるように。楽しいっていうことは、多分自分のプレーを出せているということなので。しっかりと楽しめるように頑張りたいです」

　今後に向け、目ざしている存在はいるのか。「憧れていたり、目標としている選手はいますか？」と本人にズバリ聞いてみた。すると返ってきた答えは、誰もが知るスーパースターだ。

「世界にはすごい選手がたくさんいて、全ての選手がすごいんですけど……。特に（リオネル・）メッシとかはすごいなって。自分の発想にないようなプレーとか。結構、毎試合毎試合生み出されるので、そういうところがすごいなと思いました」

　さらに「なでしこの中でメッシのような存在を目ざしたいという気持ちはありますか？」という問いには「はい」と即答。ただ、「なでしこのメッシ」というフレーズを振られた際には、「なんかメッシに失礼ですね」と、記者陣を笑わせた。

　ニューヒロインからなでしこのエース、そして世界のハマノへ――。決して満足のできるデビューではなかったが、INACのお膝元であり、出身地の関西で、まずは一歩を踏み出した。

取材・文●有園僚真（サッカーダイジェストWeb編集部）

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